※この記事はINIドーム公演のネタバレを含みます。
わたしたちは、あなたたちの数になりたいと、沢山の数字をあげたいと、強く強く願っている。
でも、あなたたちはわたしたちをただの数字から、たった一人のわたしたちに戻してくれる。そう扱ってくれる。
それがどれほどのことか、わかる?
1.はじめに
引越し先の町。夏の終わりに。この辺りで一番価格帯が低いスーパーに向かう。駅構内にある百均の前を通った。目に入ったのはオレンジとブラックのカラーリングの魔女帽子とかぼちゃモチーフのアイテム。わたしは卒倒しそうになった。ハロウィンはまだ先だろう。そんな追いたてるようにしないで。こっちはまだフジファブリックを思い浮かべたいのに、それにしては今年は気候が涼しすぎるとかチューニングに苦労してるんだよ。
またある日。作業をしようとアイスコーヒーをコンビニに買いに行ったとき、店の奥の方に向かうと「おせちのご予約、承ります」と上の方に紙に毛筆で書かれていた。わたしはまた卒倒しそうになった。盆と正月はいっぺんに来たら嫌なことが分かった。これ以上、時を先に進めようとしないで。
わかっている。商品は例えば3回目にしたら買いたくなるという法則もあり、前もって季節感を印象づけ、徐々に買いたくなる意識づけをしなければならない。経済成功は大事。お金が無ければ商売は存続しない。より多くの人を。より多くのバズを。
だとしても、というか、だからというか、わたしはそれを見た瞬間にすごく疲れる。すごく削られる。わたしって数稼ぎの数として見られていて、数字としてはただの1だから、価値としてはすごく低く処理される。そのことが手に取るようにわかる。
泣き言を言わないで。むしろ、君はそっち側にならないといけないんじゃないの?
そう、わたしはアマチュアで作品作り(小説とか歌とか)をしていて、新人賞とかも挑戦していて、なりたいなら売れる作品作りを目指さなければ存続はない。
押しつけた私の作品をちゃんと見てくれて、大好きな人たちが感想をくれる。好きとか、ここが特に良かったとか、時には自分の人生の話すら載せて、言葉をくれる。本当にありがたいのに(感想を書くのって本当に難しい、筆無精のわたしにはわかる)、でもある程度突き詰めれば深く刺すのは簡単で、広く浅く、深く狭くって言うかもしれないけど、バズ曲なんで広く深く刺してるんだから、そっちの方がいいじゃん。意味あるか? 深く狭いことって、とか思ってしまう(まだ何も成していないだろうがよ)。
ひとつの説がある。たかが百均の商品で、そんなことを攻撃的に感じるのは、あなたが疲れすぎているからだと。一理ある。でも、雨は続くし慣れない仕事も街も終わらない家事も続いていき、疲れていない状態がもう分からない。
そんな日常で唯一の光は、ど平日のINIドーム公演だった。周囲のMINIが徐々に準備を始めていて、わたしも何を着ていこうかなと気温とにらめっこしながらコーデを組んで、2日目に入るから初日のネタバレは踏まないことに決めて、一曲目何かなとか、仕上がっていく尾崎匠海くんのビジュとか、とにかく楽しみでソワソワして、始まる前ですらこんなに楽しいのに始まっちゃったらどうなるの? と思っていた。
2.待ち時間
いざ、当日! 前日は雨だったけど、2日目は晴れ間ものぞくっぽかった。
2年ぶりにINIの単独ツアーに入る幼馴染と前日に作戦を立て、各自なるべく早くから並ぶという形に落ち着いた(それは作戦なのか?)。我々は締切日までに何かをするのが苦手で、グッズの通販を口を開けて見送り、当日にグッズを買うしか無かったのだ。
さて、わたしは5時起きで7時台に水道橋に着き、9時からのグッズ列開始を並んで待つことにした。
カジュアルやフレッシュな系統が似合わなくて、推しのメンカラであるオレンジをいつもは身につけず現場に行っていた。だけど、前に学芸大学でフォロワーと遊んだ時、そこのセカストでちょうど安くなっているクリーミーシャーベットオレンジのタンクトップワンピを見つけて、これならいけるかもと思って購入した。今年の現場コーデはひと味違うぜ!メンカラを身につけられたことが、嬉しかった。


幼馴染が来ないまま、グッズ販売が無事開始する。今日は仕事に行くふりをして朝出ると言っていたが、同棲中の彼氏も同時に寝坊したらしい。どんまい。代行を請け負って(一人一つ!)、無事グッズを手に入れる。尾崎くんのメンプロの帽子、リボンバージョンを買ったぞー!
そこから幼馴染と合流するまでとか、してからも、とにかく沢山のフォロワーさんに会えた。2度目ましての方も、初めてご挨拶した方もいて、ソンムルだけでなく書いたものに感想をもらっちゃったりとか(神がとう…しがないオタクの制作物に…)、ツアーコンセプトを意識したコーデを組んできた敬愛フォロワーとか、ライブと同じくらいワクワクの楽しい時間だった。あとわがまま言って、初めて旗の列に並んで幼馴染に写真を撮ってもらった。すごい暑かった。ありがとう、幼馴染。
ドームの中に入って、ドームモナカアイスとか食べちゃって、ペンラの設定は天に運を任せて、暗くなりきらないまま演目が始まった。
3.演目内容
※推しの尾崎匠海くん定点気味かつ凄すぎて記憶飛びがちです。
・VCRから始まる。形だけ見事に発展した、色を失った都市、誰にも何にも興味を抱かず人の行き交う雑踏。そんなディストピアで、選ばれし者が立ち上がるというストーリーのようだ。ここでメンバーが一人ずつアップになってかっこいいんだけど、尾崎くんの目に光がなくてサイコー!演技人間!となったので記しました。
・一曲目がまさかのNon-stop!この楽曲の洗練されたお洒落さが、都市の光というコンセプトにぴったりで感動! あと去年のナゴドでNon-stopってかなり重要な曲だったのを、突然一枚目のカードとして切ってくるの、核を落とさないで豪華さを出しつつ、出し惜しみしない気概が見えて、本当にチームINIが大好きに…!
・てか黒のフォーマル系かつメンバーによって差異ありの衣装って、最高すぎないか!
・尾崎くん、自分のパートの輝きはもう言わずもがななんだけれども、今回はモニターで画面の端に映ろうものなら反射で「この輝きは何?」って視線がいってしまって、何? 黒真珠?(黒髪だから)
・ONE NIGHTの尾崎くん、ずっと演技力で踊ってて、神。ONE NIGHTって映画性があるから…
・ONE、ディストピア・シティ・コンセプトにぴったりだろう!
◾︎Give Me More
いわずもがなの威尊くん、雄大、迅ちゃま、尾崎くんのユニットステージなのだが、すごいなんかあのー、ダークネスセクシーコンセプトなので(言った)、とんでもない身のくゆらせ方をしながらこちらに迫ってくる尾崎くんのターンがあって、隣の幼馴染とずっとひええ〜ってなって、肩を支えにしてた(幼馴染ありがとう)。あの時間永遠かと思ってこんなの見ていいのかよーー!になった。
なんかさ…なんか尾崎くんってロックンローラーだしHIPHOPPERなので、お顔立ちや等身が正統派かっこかわいいなのに、INIの曲は基本いかつめに踊るギャップがあると思うんだけど、Mr.TAXYの時のようにソフトでフェミニンな身のこなしもできる人で、この曲もその系統の踊りだった。だから、身をくゆらせている時に強さ/挑発的/好戦的のニュアンスでなく、な、なんて言うんすかね? こっちに来てるのは尾崎くんなのに(※ステージ上で前に向かってくる振りというだけです)百合の花が朝露を垂らしていて、その香りが芳しくてふらふらと引き寄せられてしまう、みたいな…なんか…受動と能動が歪んでわかんなくなってくるみたいな…はい…
てか後半で迅ちゃまと尾崎くん、大尊でペアダンスするターンがあったんだけど、その尾崎くんの身の翻し方も、avex時代にこういう振りあったんだろうな〜演劇性があっていいな〜みたいなのを彷彿とさせつつ、なんかこれも手折られる花のような憐れなうつくしさみたいなものがあって、俺は何を言っていますか?
・VCR、色彩の死んだ都市のエレベーターに11人が乗ると、絶対に敵とか外にいるでしょって思ったら急にポップなメッセージが表示されて「MINIの欲望叶えたろスペシャル」の夏祭り、あにまるず、剣道(剣道)の幻想風景がそれぞれ出てきたの、「インセプションすぎる!!!!大好き!!!!」になった。この設定で映画作ってくれよと思った。てかその、欲望が生存の駆動装置になるって構造好きすぎて弱点だからやめてください(もっとやってください)になった。
・ここから後のブロック、ばり楽しい曲たちなのに記憶まじで消えててかなしい。円盤待ってます♩
・ドス鯉クラブのSWING、りー西が金属を想像させるようなキーンと硬質ないかちー感じで激しく踊っていたところ、パートチェンジでドラム缶(ドラム缶だったよね!?)の上の田島さんが、強者だからこそ忙しなく動くんじゃなくて、動作に余裕がありゆっくり佇むをやっていて、田島さんってやっぱTricksterだしドス鯉の紅一点(?)だし予測不可能無軌道で最高〜となった。
・君がくれたもの、本当にもってかれすぎて記憶が消えてるんだけど東ドに藤牧さんと柾哉さんの歌声とピアノが響いていて、贅沢な時間だったよ〜〜
・WISH、白衣装のみんなが集まって歌っていて、特別なオルゴールみたいだった。ウィンマジの曲をちょっと蒸し暑い日々に聞けるの嬉しすぎるよ〜〜
・大好き楽曲INItializeが円形のステージでみんなが向かい合いながら歌い上げる仕様で披露されてて、こんな風に歌い上げても綺麗な曲だったんだINItializeって…ってなった。ポテンシャルが無限。"誰にも壊せやしない"という歌詞が好きすぎる。
・U MINE、生歌で聞けるの嬉しすぎるしボーカル陣高音ビタビタに当てるしで、冬の広告で飾られたビビットな色合いの街に真っ白の光が降り注いでる景色みたいなのが、見えた…
・再びVCRへ。なんかレーザーに狙撃されて、さのたくが取り残されちゃってアワアワしててみんな守らなきゃ!ってなってたの、アイエヌアイすぎたな
・フェンろむのspin it、演出も衣装も歌声もお洒落だし声いいし最高だった!
・VCR明けで「Light」として現れたAll 4 Uくんの強くなった主人公みといったら嬉しかった。不動のエース楽曲すぎるよ…
・BIYOND THE SKY、ライブでやると盛り上がる曲すぎるだろう。みんなの歌声も踊りもパワフルで本当に大好きだった
・ラストのSUPER NOSTALGICくん、スタンドマイクで横一列になって踊るところ、洋楽のショーという感じでめちゃくちゃ良かった。INIのSeptemberのカバーを愛していたので……
4.
尾崎匠海くんの最後のコメントは、INItializeの歌詞を歌っている時にすごく感じるものがあったと言ってくれて「MINIと作り上げてきた関係は絶対に壊すことができないなって、誰も邪魔することはできないなって本当に思いました」というものだった。
これの前に藤牧くんとMINIで「もっと売れよう」という約束をしたシーンがあったんだけれど、それってもっと大衆に知られなきゃいけないという思いだったのかなと思う。私たちMINIも、多分同じ気持ちの時があって、ときどきもどかしくて歯がゆい。
もっと遡ると、ドキュメンタリー映画で尾崎くんも数について言及していた。「数字というのはこのお仕事において出したいものではあるけど、数字だけじゃなかった」という趣旨のコメントをしていた。
いいねをしたとき、私たちは心を動かされたからしているのに、それは1という数として処理されて、上から見たらとてもか弱くて小さい。新規のファンを取り込みたいと思っているコンテンツにおいて、昔からのファンと新規で獲得したいファンの数字の数えられ方も、たぶん違うんだろう。違うんだろうというか、わたしがそうなっちゃっている。いま側でわたしの作品を見てくれて、見守ってくれて、熱いリアクションをくれる顔の見える誰かより、妄想の中で獲得したい気でいる大きな数字の方に目が眩んでいるのが、わたしだ。
それでも、INIは今目の前にいるMINIのことを、なんでだろう、なんでこんなにって思いながら、大切にして愛してくれていること、わかるよ。それを選んでくれていることが、わかるよ。
結果を求められるエンタメの世界で、いま尾崎くんやINIの皆が戦っているのは、そういうものなんじゃないかと、勝手に思ったりする。
わたしたちは、あなたたちの数になりたいと、沢山の数字をあげたいと、強く強く願っている。
でも、あなたたちはわたしたちをただの数字から、たった一人のわたしたちに戻してくれる。そう扱ってくれる。
それがどれほどのことか、わかる?





