朝五時の食品サンプル

魔女になりたい!/朝丘せろり

小雨の金輪/20240224_INI_READY TO POP in KYOCERA DOME OSAKA

 小雨のような加護のなかで、これを書いているよ。

 

■京セラ1日目前日譚

 鬱をこじらせて三カ月弱入院していて、「これしか希望がないだろうから」と気の毒に思ってくれていた幼馴染がドーム1日目のチケットを当てて遠征の旅程を組むのとかもすごくやってくれて、前乗りして大阪をはちゃめちゃに楽しんでいた、ガチのお気遣いをありがとね。牡蠣と豚入りの檸檬と出汁醤油で食べるネギ焼き、おいしくいただきました。中崎町は小路に雰囲気があってケーキも可愛いところがいっぱいあって、おいしくいただきました。ちよちゃんおすすめでなにプリが皆で食べていたわなか、外さくさく中ふわふわのすっと消えるタイプのたこ焼きでおいしくいただきました。24日中に帰るからお土産にはさすがにできないから……と前日夜に買ってINIフォルダバレンタイン回を見てはちみつ紅茶飲みながら半分こして食べたりくろーおじさん、おいしくいただきました。ずっと食べてるな……

 事前にかなり念入りに行きたいところをマッピングして誘導してくれた幼馴染が、三角州の中州に建物が立っているポイントに差し掛かったときテンションが上がっていて、地理が好きだということを幼馴染なのにアラサーになって初めて知るというちょっとMATCH UP!イベントがあってコンセプトに沿った旅に……!になった。

 あとあのエッセイ漫画で見たことのあった船場センタービルを通る機会があって「エレベーターのボタン、高さのあるプラスチックの丸いボタンをこしゅっと押し込む式で古風!」になるなどした。

 ライブ前はうどんとケーキを食べて、いざ出陣!

 

■京セラ1日目

 

 RADEY TO POPの文字の中にみんなが映る爆上げ演出からロックバージョンのSPECTRAとRocketeerが始まる。みんな気合十分で、でもツアーの集大成という感じで円熟した出で立ちと掛け声に積み重ねを感じた。これから始まるな~と思っていたら、アルバム新曲MOREが早速ここで入って失われる平静。

 MORE、サビの弓を引くようなボルテージを溜めるようなコレオが歌詞を表現していて大好きだった。そして何より二番の歌詞がすごすぎるパート“ほら前進あるのみbut Stop 君を待つこっち”、雄大のウィスパーボイスでパート割りは知っていたけど、コレオがなにプリで悲鳴出た。ツアーのモニターでは雄大の背中に耳をあてた尾崎くんが一緒に映し出されていて、この歌詞の質感がなにプリの循環する愛にぴったりで、もともとこの曲の口上名乗るとことからはじまるのといい歌詞と言い好きだったのだけど、もっと好きになってしまってどうしよう、でももうここでやってしまったら終わってしまうんだ……!になって爆発するような嬉しさと悲しみが同時に存在していた。

 推し定点で申し訳ないのだが、推しであるところの尾崎匠海さんにおかれましては、“誰より光ってみせるから”が「誰より光って見せるから(※おれの責務であり義務)」みたいな裏で燃える焔みたいなものが見えて、それがきみをそう光らせるんだね……になっていた。挨拶の時もだけど、今回尾崎匠海さんの夢のステージでの公演ということで、何となくカメラとかも感極まって泣こうものなら現場を押さえようという雰囲気があったように感じたけど、尾崎匠海さんのそうはさせまいという「(ドームという場所の重さを確かめはするけどそれはそれ、)皆んなの方を絶対に楽しませるぞ🔥🔥」感が挨拶からその闘志が出ていて、公演全体で構築した曲の物語を載せて伝えきるというステージの上の人としての矜持とそれを載せることを可能にする落ち着きをすごく感じた。

 それはなにも尾崎くんだけではなくて、全員にも似たような落ち着きを感じたと思う。Password(挑戦的な表情で魅せる大夢くんがめちゃくちゃよかった)、Shooting Star(池﨑理人氏の最近さらに円熟して渋い声の煽りからしばらく経って状況を理解したとき悲鳴あげた)と激しい曲が続くけれど、みんな全く浮ついた感じは無くて、ステージの上で魅せる人であることに徹する、みたいな芯を感じた。それは口々にアイエヌアイのみんなが言っていたけれど、自分達には早いかもしれないと思ったドームを埋めつくすお客さんの歓声や悲鳴、存在や気配、差し出されたものぜんぶぜんぶを、漏らすことなくひとつひとつ受け取ろうとして受け取ってくれて、食べて、その受け取ったものの重みが確かなものであるからとその地平を踏む力に変えていくような、そうして立った場所から彼らが表現者としての自分をぐっと前に立たせて、作り上げたパフォーマンスを客席に見せようとしている、というような、この二年半で培ったやさしい貫録みたいなものがとても見えて、こんな風になったんだな、とその乗り越えてきたもののことを思った。

 

 第二ブロックのやさしげかわいらし歌唱パートが始まる。YOU INはコレオと衣装も相まってドラマみたいな恋の物語を演じてくれてありがとうになる。Ferris Wheelもサビで踊る尾崎くんが映ったのだけれど、コレオが優しかわいくて似合ってた。We Areのシティポップバージョンがまた見れたことがうれしい(音源下さい)。西くんの優し気な表情がこのブロックは印象に残る。つなぎの途中でエピソードを話し出した柾哉さんが、はけた組が戻ってきたら「また今度話すわ」って行っちゃったのが、ほんとはそんなことないのに、一緒に遊んだ帰るときの友達みたいな距離感で嬉しかった。歌唱パートではMirrorが響いて、推しであるところの尾崎くんが、胸の中にある窓にぽんとひだまりを届けてくれたような感触をくれたことが、ドームで決して近い席ではないここまで届けてくれたことが嬉しかった。あとは木村柾哉さんの歌! 最近、柾哉さんが歌声を出した先で木村柾哉という人格がホログラムのように再構築されて気持ちを話しているような、より繊細でニュアンスが表れていて心が伝わる歌になっていて、表現の変化を感じてわくわくです!

 入院中、病院内の散歩で夕陽を見ながら聞いていたHANA_花はやさしくてきれいで、初めてツアーでイントロを聴いた時に「あれ私って、10 THINGSくんのこと本当に好きになってたんだ……!」とほぼ恋に気づく瞬間になっていたところのみんな大好き10 THINGSくんはサビのコレオが意外と激しい系でもあるというところに気づいたりした。大好きだこの二曲……。

 

 ツアーで聴いたLEGIT最高にぶちあがったな~とか(藤牧さん最高だし、ちよちゃんが公演を通してですがずっと、いい……)、メドレー始まる前にたじくんが「こっから激しいからね」みたいに言ったのがまた友達みたいな距離感でうけたのとか、でも観客にさえ息もつかせぬメドレーが始まったりとか(CALL119の田島さん、松田さんやばかった)してましたけど、会場中ぜんぜん遠いとか感じなくて、みんなが小さいとかも感じなくて、後から考えたらそれってステージを掌握してるってことじゃん、に気づいた。

 そしてさ~~Dirty Shoes SwagとDo What You Likeだよね! みんなが舞台裏にいるみたいなカメラに黒×赤のちょいワル衣装に身を包んでいると思ったら、メンカラの三輪車をぶいぶいいわせながら登場でさ~~なんだよこっちは「ありのままの自分を好きになる」と言われて、わたしのありのままなんて皆と違ってなんにもないから見つめたって虚空を見つめるようなもので、虚ろで気がおかしくなりそうでなにも愛せる要素なんてないんだよって拗ねてたら、ちょいワル衣装に三輪車走らせてでかっさらってくれるからさ~~じゃあなんか、そんな面白いことが起こる人生って、いっか! って意味わかんない角度から投げ込んで心を奪ってくれる瞬間をくれるみんながもっと好きになってしまったよ。

 Let‘s EscapeとINItailaizeのコレオ本当に大好きでもっと見せてください。INItailaize本当にINIというアニメのED曲すぎて、きっとロボを操縦して各学校が争う団体戦の競技のアニメなんだろうな~という謎の目線で見てしまう。推しであるところの尾崎匠海さんは担当パートにINIポーズコレオがあり、背負っているぞという強さを出す踊り方をしていた。フェンファンの作画とダンスが、アニメーターが魂込めてる線のそれだった。

 

 そこからNew Day、FANFARE、アンコールでAMEZE MEとHEROの流れは本当に楽しくて、ツアーが終わる寂しさと今後何を目印として生きればいいのかという喪失感でいっぱいだった開演前の気持ちが全く無くなって、目の前の今の方を絶対感じたいってその気持ちが背中にまったく届かなく振り向かなくさせてくれて吹っ飛ばしてくれて、「RTP終わっても、私は生きていける」と本気で思えた。のに、ボーカル陣がこのブロックずっと凄くてサムライズフェスのときを彷彿とさせるような魂全開放モードに入っていてドーム中あちこち射抜くように歌声をとどろかせていてライブ楽しいってなっていたのに、TELEVISIONがさ、大好きなんだよこの歌、大好きだからたくさんTELEVISIONと歌ったのに、尾崎くんがこのフレーズを持ち帰って生息する生き物だと私たちのことを絶対に知っていてくれたから、いま現れてあげられるこの瞬間にたくさん“大丈夫 笑ってよ ここにいるよ”と歌ってくれたのに、最後“TELEVISION”と歌って終わった瞬間、テレビに終わらないでと叫ぶ子どものような、この京セラドームという箱のなかに楽しかった今日もINIのみんなも閉じ込めきったような気持ちになってしまって、自分には何も抱えるものがなくなってしまったかのように本当に淋しくなってしまった。

 もう二度とこないだろうか、こんな日は?

 

■バスの中で

 

 引き裂かれるような淋しさを感じても、時間は迫っている。公演が終わってから怒涛で夜行バスの出発する駅に向かって、お土産の551とたこ焼きを調達してぎりぎりで乗り込んだ。暗くなった車内の中で眠くなるまで終演後に投下されたレポを見て、そろそろ、と眠りについた。

 りーくんが挨拶で自分達にも日々過ごす中で辛いと思うように、みんなにも辛いことがあるんだなと思う、と言っていたように、INIのみんなも、私たちも、お互いにそれぞれ辛いことが起こったときにリアルタイムでは現れてあげられないことをもう知っていたんだと思った。それがお互いに同じ気持ちだと言うのは、私は想像しなかったと思う。それでも、約束した日に私たちは会う。そんな日があったことを想像してくれることが、私たちは現れてあげられないのに私たちの応援をいつも漏らさず見てくれることが、私はやさしいと思った。

 夜行バスで、私は一度十二時に起きた。そのとき、私は小雨のように私を包む「楽しかったな」という感触に護られていた。街灯の灯をもやわらかく反射させ輝く、小雨の加護のゴールデンリングは、アイエヌアイさんがいつもくれる、もしくはINIというグループそのものみたいで、それで私は今日までとりあえずは生息していて、次に会えるのを楽しみにしている。

20231103/やっとのことでの血みどろ雑記

20231103/やっとのことでの血みどろ雑記

 

♡近況:不調と、最後に残るものとしての吟遊

 

 何から書けばいいのかももう忘れてしまったね。でもずっとずっと脳内では自分がフィラメントになった気持ちでありがとうを念じていたんだよ。腕とか指はね、だめなんだよ本当にこわばるよ。不調のとき書きたいという圧で肩凝りと頭痛と食いしばりでもっとだめになる。でも口は最後まで回るから、この夏はいっそ吟遊詩人として、ある時は日暮里の居酒屋や美術館終わりのカフェで、またある時は合同誕生日会の現代的フレンチのレストランのカウンターで、またまたある時は代々木上原のレンタルスペースで仮眠を挟みながら、それぞれ友達にたくさんわたしが見たINIのひかりのことを話していたんだよ。どの友達もとても真摯に聞いてくれんだよ。

それから一人の家で夏野菜おでんを作って食べながら柾哉さんが振り付けしたMomentをきれいだなって見た夕暮れがあったし、あとから考えたらラビオリみたいにきついことが幾重にも重なっていて折れて今回このようになったわけだけど、毎朝起きて一番に誰かおれをころしてくれ!と思っていた7月、誕生日に”Spend whole new life with you”と歌ってくれたこと忘れないよ!(※ここまで全て一方的な私情)。

 ツアー東京最終公演に入るから、いよいよ柾哉さん推し幼馴染と着ていきたい服やつけたいピアス、髪型の話をしていて(まあまあ直前だね)、そしたらなんだかここ2日は朝起きたときから調子が良かったから、芝生の上でありがとうを書くことにした!

 

 デビュー記念日おめでとう! なんか勝手に、人生を並走している気でいるから君たちが魂燃やしてるとき光って、わたしもわたしの人生を頑張れるよ、ぜんぶ伝わってるよ!

 

♡1.First Loveれなかった、話

 

 さて、ありえない回数上記のスポットを巡る中で繰り返し話していた「待望の藤牧京介さんcover動画第一弾のFirst Loveの歌詞を全く理解できなかった状態から、たっぷり1週間くらいかけて最終的に『CanCam2023年7月号』の藤牧京介さん一問一答を介して理解した話」とかから、するか~!

(めんどくさそうなひとだね……)

 

https://youtu.be/zOIxoJS2jrc?si=HCu47sk4-TLnYOXU 

さて、7月に上記の藤牧京介さんの宇多田ヒカルFirst Loveのカバー動画が上がりましたね! 待ってましたとみんなが盛り上がるなか、わたしも「京介さん声きれいだな~」となっていたのですがその時はそれ以上コメントできなくて。

 いや~~。

…………。

あの、別に言い訳なんですけど。

すみませんなんかあの、歌詞があの~~~~当時まだ脳髄に到達していなくて!!!

 

********(怒号)********

 

いやあの、「2023年にもなってあの宇多田ヒカルのFirst Loveが腹落ちしてないやついる? いね~よな!」だと思うんですけど、今回最後には理解したので、許してほしい!

こう、一応わたしの脳内を説明すると(いやだよ!)、歌詞で行けば最初の方の“明日の今頃には あなたはどこにいるんだろう 誰を思ってるんだろう”の時点で「うお~!? 自分以外の他人のスケジュールを把握している! うお~これは大体平均的な相手の1日を把握していてそういう関係性ということでもあり、時間間隔を応用して目の前にいない相手のことを想像する力のある人だ! す、すげえ……おれにはできねえ!」になっていたのでこれは大分先の長い話ですね~♪(※このバカコメントをしている人間は己のADHD性によりスケジュール管理能力というものが致命的に欠けており油断すると仕事に影響が出るし最早己のスケジュールを把握することさえあっぷあっぷであるためこういった応用ができないし、発想も無い)(恋愛ソング語るのやめろ!)。

一番「多分ここの根幹を理解できていないから読解に失敗しているんだろうなあ」という予感がした部分でいうと、二番サビの以下ですね~。

 

”You will always be inside my heart“

“いつもあなただけの場所があるから”

“I hope that I have a place in your heart too”

 

 こう、なんかこれを感覚で英語詞から推測すると(ぐぐって!)、たぶんこの歌の主体は恋した相手のことを考えるときに、他の誰の時とも違う“あなただけの場所”という不可侵の庭みたいなところを作っていて、潜ると言うか誰も踏み入れない一人になれるその場所で噛みしめて考えているということまでは、「なるほど~そういう感じできみは恋をするんだね!」と分かります。自己申告してるし!

 でもこう、3行目で“あなたにもそういう心の場所があってほしい”が来たときに「えっ?????」ってびっくりして、こう、わたしはレールからがっこん! と外れていったわけですね~。

 ↓そのときの心情

(えっ、なんか別に好きな人のことを想うやり方って個々人によって独特さがあるから完全に一致することって、無いから不可能じゃね……?)

 ↓

(え、てかなんか、むしろ全ての仲良くなった2人組あるいは任意の他者同士、もしくは一方的にこの人みたいになりたい! と片思いするあこがれの人とかとの関係性って、行き着けば行き着くほどその人とわたしは全く違うやり方で好きなものを愛でたり大切にしたりしていることが自明になり愕然とする瞬間が、あるくね?)

(なんで、なんでそんな土台無理なことを、望む……? 苦しくないのか?)

 

~完~

 

 えー、上記のことがあり聴くと疑問が頭の中でひしめき脳を圧迫する恐怖で歌が聴けなくなるのはわたしにとってはよくあることなのですが(かわいそう)、「いや、宇多田ヒカルが言ってるってことはほんとだよ(※桜流しとOne Last Kissへの信頼)!」とか「京介さんが選んで歌うってことは、彼の何らかを示す参考資料だよな…(※ファン特有の厄介な勘ぐり)」とかは思うところがあったので、聴かなくても時折このフレーズが頭を過ぎり、ああでもないこうでもないと自然と思索する羽目になりました。

 

*********

 

 さて、話は飛ぶように見えるのですが(最終的には帰着します)INIが4th single DROP That! でカムバをしたので、それに伴い雑誌が発売された時期があり、その中に『2023年7月号CanCam』がありました。内容は充実しており楽しく、中でも一問一答企画はそのシンプルさから巧みな問いであればあるほど各個人の核をあぶりだす装置であり、本号本企画においては大変見事であったことをここに記録しておきます(訳:ファンとして大いに沸きました!)。

 そんな中、わたし個人としては一番心が捻じ切れるかと思っ……印象深かったのは京介さんの一問一答でした。以下抜粋!

 

“Q.言われるとテンションが上がってしまうほめ言葉は?”

“A.『一緒にいて楽だわ』とかですかね。”

 

こう、京介さんは普段から人見知り気質ですが恐らくそれは「この人とどう関わるのがベストかな?」をすごい観察して、強めにツッコミを入れてあげた方が喜ぶのかな~みたいなことを探っていくタイプだと追っていて思うのですが、雑誌ではやっぱり相手と居心地のいい関係性を作ることは結構大変なことだと思うと自分の考えを補足していて、そのあと『メンバーで言うと、多分言われたことはないけど、匠海とはそういう関係ですね』って言ってて尾崎匠海さんのことを挙げているなどのモーメントがありました。

まあ、それは普段からよく京介さんは尾崎くんのことを称するときに「一緒にいて楽」と言っていたのでそうなんだろうな~と思っていたんですけど、新たにこの雑誌で京介さん自身もそうやって人に言われたいことが明らかになり突きつけられ……私は……

 

 ————The Eeeeeeeeeeeeeeend★————

 

 ……はい、あの~、これを読んだとき本当に勝手に自分が耐えられなくて、切なさが胸を襲いあまりの京介さんのいじらしさに一人で床にうずくまったりして、いましたね!

 な、なんでこうなってんだっけ?

これに一人で向き合うことができなかったので、一連の流れを頭に叩き込んで複数人の友達に話すことで「自分は京介さんのこのアンサーのどこに何を感じてうわ~~~! になったのか」を解体する吟遊詩人活動を始めました(ちなみに尾崎くんは同様の設問に“A.『歌で感動した』です”と答えていてこの人はシンガーでアイドルをやりたいという想いの一途さ故に一歩間違うと崖に向かって一直線なところがあるので答えがガッチガチになる人です、そういう人なんです(弁解口調)。)

そこで話していて、あと話した後輩とも意見が一致したのですがまずは、まずは本当に「え……なんかさ……それを言えるのって……強さじゃん……もうなんか、一番に言われたい言葉に挙げるものが、思い通りにならないし自分でコントロールが効かないかもしれない、他者基準の評価の言葉じゃん……? それでもこの人はこうやってくんでしょ? それはなんかもう、京介さんは、本気で人と関わり続けて他者に身を委ねることを厭わないで、生きていく気じゃん……。それを自分でも少なからず自覚しているってことで、でもその望みを選んで口に出しているということで、え、まぶしい……」ということがあり、しばらくどうやったってそう生きる強さが不足している我々は、言葉が出ませんでした。

 いや、まずはというかこれが全てなんですけど、“強さ”と思った点について踏み込みます。

だってそれは、自分がそう言ってほしい相手がそう言ってくれるとは、限らなくないですか? と、思ったからです。人には様々な価値基準があって、それは性質や生い立ちや挫折に左右されて決まっていって、だから本当の願い事はとても独特で個人のかたちをしている気がします。そして何故か分からないけど、拒絶されたら本当に怖いからかな? 本当に欲しいものや言いたいことって、どうしても言えなかったりしがちな気がするのです。それが歌や物語のかたちをとったとき、その距離感であれば「これを作った人と自分はおなじだ」と心を寄せられそうですが、近くて実際に仲良くなる人って自分と志みたいなものは一致しても、自分と正反対なところや違うところに惹かれたりしませんか? だとしたら、同じにはならない確率の方が——誘導とかしない限り——高いんじゃないかと直感的に思うのです。

でも、でもそれを超えて本当に自分が言ってほしい言葉を、てらいを超えて言えるのが、つよくて、そしてそれだけが欲しいものを引き寄せる引力のはじまりなのを知っているから、私たちはとてもできなくて怯えたのだと思います。

 

 ——さて、賢明なる読者の皆さんはもうお気づきでしょうが、わたしはようやくこの一連の悶絶を経てFirst Loveの鍵を見つけたのでした。

つまり“I hope that I have a place in your heart too”とは、初恋とは——皆が憧れて、これは本当にこの世にあるとまだ出逢っていてもいなくても焦がれて自分には分かると思ったのは——、叶わなくても、“自分に大切なものをくれた好きな人が、自分にとって一番の位置にあるやり方で同じように自分のことを好きでいてくれることがあったら本当に嬉しい”と、大人ぶった擦り合わせなんてどうだっていいから、幼いようで原初の希求を願ってしまうメカニズムのことではないかと思いました。

 だから、そんな胸が苦しくなるような大切なひかりのことを、京介さんが京介さんの持つ強さで、あのやわらかくて弦楽器のようにのびやかで男性とも女性ともつかない声で歌っているのだと分かって、とてもあのカバーが大好きになりました。

 

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……いや、違くね?

いや、メカニズムとしてはそうなのかもしれないが、なんか……なんか証明とかでシンプルに答えを出す強い高度の数式が本当はあるんだけど、そっちを忘れたり習ってないから別の式で出すみたいな回りくどさを正直めちゃくちゃ、自分でも感じているんだよ……!

つまりそれは、恋愛の数式で、わたしはなにか人間愛とかを延長して解釈したわけだけども。

でもさ、たぶん……結局その高度な数式を私はわかんない予感がするんだよ。

 だって、第二弾のflumpool君に届け』のcoverでも、私は“行き交う人たちの幸せ 自分のことのようにどうして願うの”の部分に「おれはとてもそうはなれねえ……」って病むからまた長いこと聴けなかった時期がこの後に、あるんだよ……(これも紆余曲折を経たのですが今回は省きます)。

 しかもさ、これらの歌を人は10代で共感したり強く惹かれたりしているわけでしょ? てか今書いてて思ったけど、10代の時にわたしはこれを何となくしか聞いたことが無かったよ。宇多田ヒカルはこれを17歳で書いたわけだし、じゃあ逆にわたしが17歳のときに100パー共感していたものって何?って考えたらさ。

 絵仏師良秀……

 絵仏師良秀、だったんだよ…………。

 ………………………………………………………………。

 

 ~完~

 

 もう多分、こうなったら京介さんが選んでカバーする歌の歌詞、おれ絶対全部理屈で理解しないとわかんねー予感がするし、そういう運命だと思う!

 でも、そんな藤牧京介さんの作詞曲『YOU IN』は、なんか分かるのはもうなんなんだよ。こわいよ。

こう、光を見出しがちな者同士、やっていこうな……(どの立場の人?)

 

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 それで、この一連と結論を現在スラムダンクの映画から令和のさなか三井寿に転がり落ち彼の人生の息吹を追い始めた親友のKさんにレストランのカウンターで話していました。

 

 なんか、だからわたしも考えたんですよ。わたしが言われて一番嬉しい言葉ってなんだろうなって。実現性とか度外視して、本当の希求って自分にとってはどんなことなんだろうなって。そしたら、私にとってそれは“あなたになりたい”って言われたら、本当に嬉しいんだろうなーって、思いました!

 それは、けっこうむずかしいね、とKさんは言いました。彼女は分析と捨象の能力が卓越しており、かつ情熱と真摯さを持ち合わせている熱い人物なので、こう、せろりさんがどんなところをなりたいと思われたいのかによってその難易度は変わるね、と続けてそれはかなりそう! と、思いました。

 でも、今はまだ解体しなくても、これからずっと解体できないとしても、わたしはわたしが本当に言われたい言葉を死ぬまでに自分で知ることができたのがよかったと思って、その洗われた光る石みたいな欲望をひとりで握って、たまに夜に取り出してそっと見ているのでした。

 

 

♡2.あなたになりたいのpieces

 

 歌おうとすると、泣いてしまって歌えなくなる曲というものがあります。

わたしの場合はそのひとつに、2.5次元舞台『魔法使いの約束』の劇中歌『深い溝/躍動する闇』のアーサーのパートがあります。

説明を入れます。舞台『魔法使いの約束』は同名のファンタジーソーシャルゲームを原作とした2.5次元ミュージカルです。現実世界でいたって普通の会社員をしていた主人公が、あるとき魔法使いと人間が共存する別世界に飛ばされて、“賢者”としてその世界を破壊するほど迫る“大いなる厄災”に選ばれた魔法使いと協力して立ち向かう使命を負う骨太な物語です。

第一作目の舞台の公開が2021年5月だった本作は、私見ですがわたしはこの物語が大好きです。原作者の都志見文太の作品は基本全部信頼しているのですが、魔法使いの約束は古典演劇や洋画を深く研究したであろう美しい台詞回しと、毒のように甘くて苦しくて眩い登場人物たちの関係性、そして異端と“された”者たちに寄り添い境界の存在である人間の主人公が、激しい痛みのなかでそれでも共存の可能性を探る「いま2.5次元で一番古典演劇の再来をやってるだろ…」みたいなコンテンツだと感じています。すみません、まわりくどい言い方をしましたが、魔法使いはその力ゆえに人間から畏怖される一方差別される存在でもある姿が描かれています。

冒頭の話に戻ります。対象の『深い溝/躍動する闇』の前半を歌うアーサーは若き魔法使いで、作中の「中央の国」で人間の王族の息子として誕生します。魔法使いはある日突然魔法使いから生まれるか人間から生まれるのですが、先述した通り忌まわしいとされる存在でもあるので、追い詰められた人間のアーサーの母は彼が幼い時に強い者しか生き残れない厳しい土地「北の国」に捨てられてしまったのです。ですが、たまたまアーサーはそこで最強の魔法使いと謳われるオズに拾われます。オズはアーサーを育て——あっやべえ細かいあらすじいま全部抜けたのですが——何らかがあってオズと別れ再び「中央の国」に戻り、いまは王子として民のために奔走しています。

まっすぐなアーサーは歌います。“私もいつかあの人のように 一筋の光となって”と。この光とは、厳しい吹雪のなかアーサーを拾って育てたオズのことですね。

 わたしはこれを、聴いても歌ってもいつも声が震えてとても歌えないのです。

 アーサーがあまりにもためらいもなく一心に、自分の見た光のように自分もなりたいと思う王としての器を秘めた強さもそうですが、もっと悲しいのは、“ああ、自分はアーサーにとってのオズのように、誰かにとって「なりたい」と思われる存在にもなれないし、そう思われるようなことを人にできる能力もない存在なんだろうな、一生”と思わざるを得ないからです。

 

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 月日は流れ今年の夏です、わたしの夏休みの思い出の話です!

さて、わたしは2023年のPride monthからけっこう厳しいな~という件が続き果ては労働で限界を迎え、柾哉さん推し幼馴染にダメもとで「現在ADHD性が強く出ており仕事に支障をきたしかけているので認知行動療法を受けたいが受けられる病院を探す作業自体苦手であり困難で詰んでいるため、私が予約を完了するまで手を握っていてほしい」と依頼をすると「いいよ!」と快く引き受けてくれたので、何とかもぎとった夏休みの初日に自宅に招待しかぼちゃカレーを振舞いました。

 幼馴染は基本わたしを見守るだけなので、作業用BGM的コンテンツがあるといいよねという話から「『KING OF PRISM Shiny Seven Stars』(通称:スッスッス)を見ない?」と勧誘を受けました。所謂キンプリは「プリズムショー」という、スケートとアイドルステージが掛け合わさったような表現の舞台に憧れ、パフォーマーである一流の「プリズムスター」を目指す少年少女の物語であり、あの伝説の劇場版を抱腹絶倒して観たわたしでしたが、その後に続くアニメシリーズの存在は知らず、まああんたほどの人が言うなら見てやってもいいが……という舐めたスタンスで承諾したのでした。

 結果として、わたしはその日のうちに全12話を最後は号泣して視聴終了し、ガストで延々とどの部分が響いたかを喋り続けるオタクに仕上がりました。

 アラサーにも、こんなに熱い人生を変えるような夏休みって、あるんだ……!

 意味不明だと思いますので端的に偏った意見を伝えると「多分尾崎匠海さんのオタクはスッスッス全12話見て損はないと思う特にまじで最終回!」みたいな物語で、細かく話せば「基本児童向けアニメで経路が全部様子がおかしいのに、ふとした瞬間そこいらでのドラマでもここまではやらねえよみたいな重くてリアルな人間描写が底にあるのはどういうバランスで可能になるんだよ! あとアイドルとファンの関係性の光を最後まで信じているタイプの作品じゃん……!」という点が主にぶっ刺さりました。

 好きすぎて暗記して、でも口に出すと泣いてしまって最後まで言えない台詞があります。7話の西園寺レオくんの台詞で、下記に引き写します。

 

“心の花を咲かせましょう!あなた色の花を!”

“皆と違うことを恐れないで!小さくてもいい、綺麗な色じゃなくてもいい!”

“私、あなたのことが大好き!”

 

 西園寺レオくんは男の子なのですが、かわいいものが好きで普段はスカートなど女の子らしい服を着ています。しかし、そのことでいじめられた過去があり、7話でそれがリフレインするような状況が生じつつも、どうしても伝えたいことがあるからとステージに立ってショーをした最後の台詞がこれなのです。

 わたしは、ちょっとこれは凄すぎる台詞だと、衝撃を受けました。特に2行目から3行目に現れていますが、この飛躍は理屈だけではとても書けないと思います。ですが、意図なき感情だけでも書けません。わたしはこれは、いま特定の状況で辛くて何も表せなくなっている人に向けて、ステージの上に立つレオくんというたった一人の表現者が何をもたらせるかということ、だから人は輝きを見たと思って生きていったり、憧れてなりたいと思ったりすることとかを、このアニメを見ているたったひとりの「こども」に向けて「大人」がありったけ思いを込めたメッセージだと思わずにはいられないのです。

 8話の大和アレクサンダーの回にも強く思いますが、キンプリはいつも、いつも登場人物の心が前に前に出ています。工夫と、どうしてもこれを伝えたいという強いなにかがあるから、こんなに心が動いてしまう。それは、“なりたい”という心だとわたしは思います。ずっと自分を誤魔化さずに、迷っても決めたらなりたいものに一心で向かっていくスターの卵たちに、心が洗われます。

 

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 INIの話に再度戻ります。

 言葉が好きですが、書いて出力するのにとにかく時間が必要になってぱっと出せないタイプで、まあまあ色んなことに支障が出ています。

 ストレスが強まるほどそれは濃く出るので、INIさんから受け取ったものを書き留めたいのに、外に出せる状態の文章にならなくて断片だけ何とか書き記したままの携帯の中のメモが溜まっていきます。

 中でもだいぶ血みどろな様子がうかがえるメモというものはあります。

 “木村柾哉さんになりたいと思う→でもなれない→でもなれないと分かっていてもなろうとすることだけが、最終的にわずかに木村柾哉さんへと近づく道なんだよ……”

 なんか書いた人限界……だよね? 病んでるよね? これが携帯のメモ帳アプリじゃなくて手書きだったら獄中日記の筆跡だったよね、人生って監獄ってこと? みたいな文章で、こわいですね~~。

 なんかでもォ……今回この話をしなきゃいけないのでェ……がんばります……!

 

 さて、夏休みも終わった8月の週末におおよそ半年ぶりに会う女友達と会合をしました。

 このお友達は見た目は由緒正しき丸の内OL!というコミュ力も抜群素敵女性なのですが、熱いオタク魂も有しています。哲学科出身故の慧眼でとにかく死の予兆を見出す速さが異常で、先見の明がありすぎるため「もはや好きなキャラクターを好きになっていったらその先に死が待ち受けているという順番なのか、死ぬことを見出したから好きになっているのかが、分からない……!」という、凡人にはよく分からん極地でたまに混乱して呻いています。

 この日は数回場所を変え、朝から夜まで計10時間半ほぼずっと喋っており、翌日声が枯れました。だいたい、わたしたちはこうなります。内容としては、わたしは推しである尾崎匠海さんやINI及び最近見たコンテンツについて、お友達はミスチル桑田佳祐の特定の歌の歌詞のどこが響いたかについてとかで、ほぼ分量としても半々ずつぐらい話していました。

 勿論、ここまで書いていた内容も全部話し、最後夜はレストランで「もうだいぶ用意してきた話題は話し尽くしたな……ここまで話すと思ってなかったけど、話すか……」と、上記メモに凝縮された木村柾哉さんの件周辺について、話すことにしました。

 日付としては、某番組が終わった付近だったことを言い添えておきます。え~、占いということでスキャンダラスな話をしとけばいいとか思っているテレビとやらは「この令和の時代に?」みたいな界隈全体が昨今はブチ切れるタイプの切り込み方をまだしていてつまり男性アイドルに対して異性の恋愛運を占い“尻に敷かれるタイプで気の強い女性が好きなんじゃないですか?”とかなんかの問いかけをしてきてそれに対し柾哉さんが「頑張ってる人が好き」と答えてファンが「えっ……明日からもがんばろ!」となった神業の話ですね!

 これは別に、説明しやすいので一部の側面を取り上げた訳ですが、いつもいつも彼は思慮深くて考え抜くけど柔軟で、鮮やかに火を花火に変えてみせる人でした。何に対しても。

 そんな人になりたいんだよ。でも、思いつく?とお友達に窮して聞きました。いや、なかなかそこまではできない、という話になり、わたしだったらもう反射的にキレて暴言を吐くであろうから本当に無理だと思うんだよね、とわたしは言いました。

 でもさあ、彼は人間だから、人間として判断して選んで生きているから、わたしは——私以外の人にそれを強要したいわけじゃない、その人がそうすることで生きていけるなら私には何もできないからもうそれで良くて——でもわたしはどうしても、人を神さまみたいと思っても神さまとして自分の心の外で扱いたくなくて、諦めたくないよ。でも脳が足りなくて、苦しいよという話をしました。

お友達は“なりたい”の話をひとつしてくれて、「なんで、どうして私たちは“あなたになりたい”っていうどうにもできない衝動に、それでも身を焼かれ続けるんだろうね? それは“あなたになりたい”と願った瞬間から“あなたにはなれない”という事実が同時に存在することなのに、それでもどうしてなんだろう?」と、分かってくれました。

 苦しくて、だけどわたしは同じ気持ちでいたことが嬉しくて、それはわたしが“あなたになりたい“というほんとうのほんとうの自分の欲望を、First Loveの件で炙り出したから話せたことだなと思いました。その時はそれで精一杯でしたが、いまわたしはその先に思考を進めることができました。

 じゃあ、わたしがなりたいものを思い浮かべたとき、何を真っ先に思いつくの? 

 ぜんぶ、ありったけ全部、話していいとしたら!

 

 ずっとずっとあるよ、出逢ってからずっと。これは偏ったコレクションで、だけどわたしが跡がつくほど強く握りしめているものなんだよ。木村柾哉さんのことも京介さんのA期のあるヨントンとあと最近タイプの女性は?って聞かれたときに食べ物を食べている“人”を見るのが好きですって答えたこととか(判断ができなくて、この文章の前にあった言葉を意図的に、省いている)フェンファンがイベントの即興劇でもメールでもいつもいつも忘れないで示し続けてくれることとか池﨑理人さんがわたしよりずっと年下なのに最近Instagramにある英語の文章たちが入ったTシャツの写真や動画を上げてくれること、それはね、それは、勇気なんだよ。それはすごくこわいことなのに、それを、してくれるの。賢くて衝突しない方法で交渉して人の心がよく分かる人たちが、それでも見える場所で、してくれるんだよ。

 だからさ、わたしがなりたいと思って浮かんだものがそれらということは、勇気がある人に、なりたいのかもしれない。

 

 そっか、じゃあ今ひとつ分かったね、ってお友達は言ってくれたよ。

 

 

♡まとめの、ようなもの?

 

 もう特に結論はありませんが、わたしは最近もだいたいこんな感じです!!!(近況報告)

 もうあのSingleにも言いたいことがあるのでぼちぼち……本当に、元気に、なりたい……。

 

 *************

 

 無理矢理まとめのようなことをすると、あの後お友達と別れて家に帰ってから、寝る前にわたしは久しぶりに「朝加圭一郎」のことを調べました。それは「夜神魁利」について調べることとも同じであり、久しぶりにあの台詞を見ました。

 

「あんたはそっちにいてよ。こんな怪盗じゃなくて、もっとたくさんの人を助けなよ」

「しかし……!」

「俺が圭ちゃんになれないみたいに、圭ちゃんは俺みたいになれない」

 

 そうだ、そういうことも、ある、分かるよと思いました。たぶん、何かについてはわたしはこういう判断をするときが否応が無く来て、それは当然のことでもあるんだよなと思えました。

 それから、幼馴染にこの台詞のスクショを送って「なれないから、これでいくしかないんだよ」と言うと、彼女は言いました。

 

 “同じ心意気には!! なれるよ!!!!”

 “なろうよ!!!”

 

 「なろうよ!」「なろうよ!」と言い合えることの焔が、大事なんじゃないかとそのとき思いました。

 この2つがそろって分かりました。

 わたしたちは苦しくてもずっとまた“あなたになりたい”に翻弄され続けるであること。

だけど、このどちらも同じように大切で、揺れながら笑顔になれる方を都度選んで、果てまで行く運動を続けるであろうこと。

 

*************

 

 

 ウオー!!ツアー行くぞーーー!!!

 

 

あるクィアの上半期日記

プライドマンスだけど滅入ることばっかだから地続きの日々を生きてんだぜ〜って感じでクィアの日記でも書いとこっかな!のやつです。
あと自分の陥った状況、マジでどう対処したらいいか分かんなくて詰んでたからインターネッツの海にレポ的に投げておく…
書いてる人は今は自分をロマアセクに分類してるよ〜。

【ここまでのあらすじ】
今年の冬の話。推しに出会ったことで「性愛分かんね〜!だからもう将来的に一緒に暮らしたいのが男性か女性かも確定しね〜しそのことの説明とかしたくね〜、心自由に泳がせたい〜♪」ということがハッキリして実家を出たせろり! 友達の力も借りながら意外と順調に秋を過ごすも、年末母から「父が癌だと分かって、余命があと数ヶ月単位らしい」という連絡が入り、実家に舞い戻ることに……? 
次回、『クィアと家族、親の死』! せろりの明日はどっちだ?

【状況整理】
あらすじが全てなんですけどね! 
結論から言うとその3ヶ月後くらいに父は亡くなって、今は落ち着いて暮らしている感じですー、一人暮らしの家に戻ってね! 真面目に書くと気が滅入るので軽い文体でこの話は書きます!全体的に倫理観は……ないかも……(あってくれよ…)

さて、診断がおりた時点でもう延命治療も出来ないことが分かったケースだったので在宅医療としたいという父の望みがあり、実家に全てが在る状態になったのですが、何故そんなに実家に戻りたくないのかと言うとそもそも一人暮らしの始まりが、アラサーなので「いい人いないの?」みたいな親の圧を毎日浴びるのが嫌で、いや私だって世間のスタンダードに生まれたかったし今もその道は残っていないかと正直期待しているがそれをやろうとすると自己破壊行動に走った記憶がフラバ気味になるので身の安全のために今は触れられたくねーし親に性愛の話とかしたくないぜ! という動機を隠して家を出たので、その家にまた戻るのキッッッツ!!笑(※笑ではありません)となった。

しかもあの〜、親が死ぬってなると人生の精算を1回求められるみたいなことあって、やっぱり結婚して子を育てるというのは幸せの物語として磐石っぽくて(それぞれ個別に色々葛藤した日々の積み重ねだとは分かりつつ)「父さん死んじゃうけど、いい人見つけてあんたたちが生きていってくれると分かったら安心するから…」みたいにね、いい人いないの?照会がね〜〜兄弟全員に入る! わ〜、強度のある物語じゃないと認められない感じ! 感受性が日常生活に支障が出るほど異常なわたしは日々色々感じて学び生きているというのに(?)形に残らないというだけで……

でもさ、分かるよ(突然の同意)。私も大学生の時からアセクシャルという言葉は知っていたけど別にそこまでではないんだろうな〜って感じだったが、降り積む違和感と自己破壊が行き着くところまで行ったのでようやく「証明とかはできないが……ロマアセクに自分を分類しておいた方が心理的安全性保たれるくね……?」とアラサーにして折り合いがついたからね。
つまり、子にセクシュアリティを開示されたとてその瞬間に理解されるとかは無く、親も受け入れるのに年月がかかるケースがあるというのは縁があって受けたLGBTQセミナーで知っていたのさ!

よって、以下の構図が成り立つ↓

*****

父が亡くなるまで自身のセクシュアリティを両親に隠し通すこととする。
親は今は家族の死以外の別の大きな問題を同時に受け入れられないだろう。

なお、親の死を悲しむのであれば長く生きてほしいと願うはずだが、その期間が長いほど自身のセクシュアリティがばれないように嘘をつき通し気を抜かないでいなければならない時間は長くなり、親が亡くなると共に一旦そのプレッシャーからは開放されるだろう。

*****

い、イェェエエエエイ!!!(※精神への負担が限界に達したため緩和のためにサンシャイン池〇さんを召喚しています)親の死と己の精神の自由が天秤に!!!かけられてる!!!古典演劇の構造か????こんな現実の事象で綺麗にトロッコ問題みたいなのが形成されるケースあるんだ!!!!演劇って人生からできてるもんな!!!!無理!!!!!!

……という精神構造が今年の12〜2月だった♪

別に両親と不仲とかではないものの、上記の状態から実家で過ごすのキツくね…?と帰るのを渋っていたのですが、そろそろ本当にヤバいという状態になり父やばいのに帰らないって薄情じゃない? 愛してないの? 人としてどうなの? みたいな空気が出てきたので、にんげんのふりしなきゃ……と実家で在宅することにします。

【キツかったってこと】

・精神は落ちるのだが"悲しくて涙が出る"というような一般的に想像できる家族愛のある精神の状態にならず、自分のことばかり気にしてるのって人非人だな……という気持ちが強かった。

子どもにとってはあんま心の深いところの交流という意味では喋らないが食事の時間は会話(ほぼ言い合いと喧嘩)するし家族旅行は皆で行く、みたいな距離感の父だったのもあるかもしれないし、もう大分眼前に死が迫っていたから皆覆らないことを悟っていて大きな感情の表出が無かったのかも分からんし、母はあまり感知してないが(挙動が怪しいのは察しているがなんでそこまでって感じかも)私と弟は多分希死念慮抱き同族パーソンなので60代まで生きるって……普通にすごくね……?のように価値観が破綻しているのもあったかもしれないし、ああでも、たまに帰る時間が父と被ったとき後ろから見た歩き方が気管支が弱いこともありなんかだいぶ……そろそろな歩き方するな……って感覚が数年前からあったからかもしれない。
とにかく、あんま理想的な家族を愛する麗しい子どもみたいな振る舞いも演じる余力もなくて、ただただ母に「やめなさい!」と言われながらも私はお菓子を爆食いしてたし弟は煙草の量が増えてた。

それから時が過ぎて夏になったけど、最近だと"父の日のプレゼントに"とかの文言を見た時に「あ、もう私に父はいないんだ」と思って今の方がなんか淋しくなることが多いかも。だから影響が無いことはないなーと思って帳尻合わせて自分では自分を許してる。

・ペーパードライバーなので病院への送迎とかも弟がやってくれて、弟2は父を心配して「大丈夫?」とか痛みが治まらない時に声掛けてあげてたりして、一方私は仕事はしてるので残業してると家事を母が全部やってくれるので特に貢献できることが、無い……。

追記:弟2さ〜障害があって知能指数が小学3、4年生くらいの成人済み男性なんだけど、お笑いの動画とかが好きでうちの兄弟の中では1番なんかコミュ力あるから唯一父のことを素直に心配して優しくしてあげてて、マジで生きていなくていい人なんていないよ。

でも帰ってきて日常を共にするからこそ良いこともあって(もう父は自室で寝続ける状態になっていたけど)、特別なことでなくても挨拶や呼び掛けに答えることで対象に相対していることになるから、離れた場所で空想に依拠した閉じない罪悪感に囚われずに済むというのがあります。

・実家で兄弟も帰ってきてたので自室が無くプライベート空間が無く、クィアコンテンツが見れない。

世間の言う幸せって自分も試したらなれるのかも〜!→試す→病む→今度は行けるかも!→試す→病む……の流れを繰り返し続ける心のブレやすいクィアなので日々クィアコンテンツを摂取しながらどこなら息がしやすいかを探ってるところがあり、自宅では化粧しながら動画見たりアセクについての本を読んだりしていたのですがそれができないので精神の逃げ場が無かった。
う〜ん、あんま伝わらないかも、これ。なんかね〜異性愛とか性愛の出てくる話を見るとホラーみたいにそれ以上見れなくなってしまうことが多くなって、自分の心を弄らなくても楽に息ができる場所を探してるので見れないのがきつかったという話です。何を自分が求めてるのかもな…もう自分ではわからねえんだ…

【ありがたかったこととか、身近な人が同じ状況にいたら選択肢として試してほしいかもってこと】

・話を聞いて分かろうとしてくれる友達の存在
親しい友達に感情全てを話すタイプの人間なので複数人に話を聞いてもらった。私が恋愛無理かも★な背景も相談していたから全部知ってくれているので、世間が理想とする"家族を愛する優しい子ども"ではない感情とかも否定しないでくれるし、父とうとうヤバいけど実家帰るのキツ〜って言ったら「なんかさ、距離を置いて一人になれる時間欲しいよね」とまで言ってくれて大事な人が……分かってくれた……だった。その言葉をかけてもらえたら、本当に分かってくれる人がいたなら、例えその状態が本当には叶わなくても心の還る場所があるからやっていけると思った。

・死に目には、やっぱりなるべく会う方向で全力尽くした方がいいかも
こう、状況的に叶えるのが難しいこともあると思うし、過去に色々あり家族とどうしても会いたくないって方とかそれはまじで無理をする必要が無いのですが、私のようになんか素直に悲しがれね〜ちゃんと向き合えねえ〜人間の資格ねえ〜って中途半端にモヤってるとかの場合はここを力いれて頑張った方がいいこともあります(あっという間だったので介護を引き受けなければならない期間がほぼなかったというのもあるけどね…)。
もう、流石に死ぬ間際ってなると泣くし恥とかなくありがとう!って言えるからそれまでのモヤりに片が付くんですよね。言う側はですけどね。
もちろんその時に会えなくたって、それまでその人にしたことは消えないですよ! 毎日現実を引き受けて向き合うことが偉いよ……。

・ちょっといいレトルトの食品
父が亡くなり泣き暮らすとかは無かったけど、家族全員が同時に1、2週間は日中も夜も永遠に眠気に襲われ判断力が通常の50%になっていたので(この中で役所や携帯系の手続きをやらなければいけない!)、勿論料理などできず親戚や友達が送ってくれたちょっといいレトルト食品で暮らしていて、あの時は本当に助かった……
どうしてもその人がそれ系苦手とかじゃなければ、身近な人が亡くなったお友達とかに何かしてあげたい時の選択肢としておすすめします〜

【余談】

あまりうまく説明できた気はしないが、そんな感じで今年の冬は自分にとってキツく、でも推しドルの活動期間とツアーが被っていたので傷口に直接当てる緊急ガーゼのように供給を浴びていた。推しドルには反射のように愛しいとか好きとか思えるのに家族に思えないのってどうなの? とかもあったが、ある動画の推しのターンに本当に本当にセクシュアリティ上勝手に、勝手に救われて生き延びた。

活動期間の曲に"叫びたいけれど どこに行っても結局叫べなかった"という歌詞があって、社会性を理解する賢さが無い私は比較的叫びたいときに叫んでいたので、その場の人の心に配慮して自分を控える人ってすごいな、私には到底分からん心の動きだな……とか思っていたら本当に実家が叫びたいけど叫べない(自分のセクシュアリティがばれるので…)場所だったのでこういうシチュエーション本当にあるんだ!!になった(※そんな無理筋なクィアリーディングはありません)。この曲はあなたと夢の中で彷徨っていたいという逃げることを肯定してくれる淡くてきれいでやさしい曲なのですが、この曲を聴くことは私を逃避行の地にその間は連れて行ってくれることだった。
そして父が亡くなったあと、一旦自宅に荷物を取りに帰った私は別の活動曲を切り替えて聴くことにして、"Change my color"という歌詞があって、紫とグレーとホワイト……私が私のセクシュアリティに戻るということ……という瞬間のBGMになった(※そんな無理筋なクィアリーディングがあるか! その2)。勝手ですね〜〜。でもさー、その時のガーゼだったんだー。ごめんね、こういうのが何処まで許されるのかまだ自分のスタンス固まってない……

 

締め方が分かんね〜。なんかさ、色々背景は折り重なるから人間の理想ではない綺麗じゃない感情に苛まれても、あなたがそれを抱えたまま生きることがあなたを保存することが、遠い誰かを暗い意味だけど楽にしたりすることがあると願ってる、生きような……(?)

 

#アセクシャル

INI 〜Awakening期 ふりかえり〜

1.

これは個人的な話で、Awakeningを聴くと、寒くてでも水分を含んでいるから肌がひりつかない、氷の中に瑞々しさが保存されたような雪のある空気が呼び起こされる。
「凍った湖、見たくないですか?」と後輩からメッセージが入って、水のある景色が好きな私は大いに賛同したので12月上旬に秋田の湖を見に行く旅行に行った。後から知ったがそこは日本最深の湖だから完全に凍ることはまずなかったらしい。そんなことはつゆ知らず、当時一応「湖 落ちたら」で検索して、本当に底までが深いのでほぼ助からないみたいな検索結果が出るのを確認した。なにか起こったら泊まる湖近くのロッジに向かって叫んでロープとか持ってきてもらうしかないか……という結論になり、ブラウザを閉じるなどの旅行前の準備があった。
結果としてはとてもいい旅行だった。シーズンでもない土日だったので人は少なく、新幹線の駅に降り立って天気はうっすらとした晴れ、稲庭うどんのお店が開くまでの間にロータリーの向こう側にあるお土産屋さんに入った。店内にも人は1人2人いるかないかくらいで日本酒や地元野菜、いぶりがっこを見ている時に、有線かな? 発売前のSPECTRAがちょうど流れてきて、空間の空白や余白にあの祭囃子の打楽器みたいな三味線みたいなイントロが真空パックに入ったハタハタ寿司たちの上にぽろぽろ零れて、自分が住んでいる場所とは遠いここでも流れてるんだ……!というかプロモーションで流してもらえるのってやっぱり嬉しいな、となったのを覚えている。
帰る日の次の日が全曲デジタルリリースだったから、帰りの新幹線でTLのINIフォルダ・オークション回の感想が流れているの見ながら、わくわく力を温存しながら備えていた。というか、何なら泊まった日の夕方チェックインしてから滑り込みでM期楽曲ふりかえりブを書いていたのをいま思い出した(後輩も書き物をするから理解があり、ロッジのレストランのハッピアワーに私行ってくるんで頑張ってください! って言ってくれた)。

私は音楽に詳しくないから批評的な観点の分析はできないし、個人の思い出と曲の感想を結びつけて書くことに果たして意味はあるのかな? と毎回なる(根幹じゃないすか……)。
答えがまだ分からないまま、でも人間がやりたいと思ったらそれにはなにかあるんじゃないかな? と後付けの辻褄合わせのようなことも思って、結論が出なかったのをいいことに今回も書いている。
言いたいことは「Awakeningもありがとう! INIの曲今回もいい!」ただひとつなのだけれど!


2.SPECTRA

・民族打楽器弦楽器っぽいイントロずるいな〜! Aメロは未開の荒々しいジャングルっぽい→Bメロはフェンちゃん迅ちゃんの声からしヒーリング系サウンドだな〜砂浜っぽい→サビ前キュイーンで「あっ? 文明がある!」→また裏で民族打楽器弦楽器鳴ってるジャングルだ! になった。コントラスト!

https://youtu.be/aMOa320erOQ

・ボカロの『阿吽のビーツ』(https://youtu.be/SiqjnFhLq2U)が好きなのですが、イントロが同ジャンルだ……と局所的な盛り上がりポイントがあった。

・MVが今回かなりストレートで、氷と炎、青とオレンジの対比構造がストーリーの組み方としては王道手法だけど王道が王道である故の良さあるな〜となった。髙牧の氷感、フェンたくの炎感。見やすい。

・二組に分かれてダンスバトルするやつ、当たり前に好きだよ!!!!!

・いかち〜曲に雄大のましゅまろウィスパーボイスが存在すること、ありがたい。

・りーくん、デカいボスを倒したと喜んでいたら取り込まれた敵兵が異常な力を持ってしまってラスボスになる感じの機械の管の集合体を操っていて(?)良かった。お顔の力で殴ってくるのあまりにも正しい戦略……

【推し定点】
鮮やかな青髪で監視カメラが複数台吊り下がったラウンドバーに座って高みから見下ろしてくる推し、友好的に声をかけてくるけど中の思考回路が全く人類とは違う法則で成り立っているタイプの人外みがあって良かった……(妄言もいいところだよ)。
よく尾崎くんの歌声はあたたかみがあると称されているのを見て、私は冷たい感じの声と言われる声はイメージができるけど、あたたかい声ってパッと出てこなくてイメージを繋げるのに苦慮していたのだけど、でもSPECTRAをMVと併せて聴いた時に「なるほど? エンジンをふかす時の音に似た歌声だな?」とちょっとガソリンとか炎のイメージがついて発見だった! SPECTRAの使われどころを見るとそういう感じの効果があるな〜となった。


3.Dramatic

https://youtu.be/o_6R5ORdfYE

・この曲パワー系に見えてかなりイメージを司ってる西くんが繊細な細い硬質さを持ってたりラスサビたけちーの正統派ストイックスマート貴公子みだったりで緻密に組まれている、でもそこに得体の知れない柾哉さんの"逆境は むしろ俺の好物だな"に象徴されるリボンのような太さや肉厚さがあったり、たじくんの舌に打ち付ける感じは軽やかで胡椒が効いてるけど密度の濃いメレンゲの比率が重めのムースみたいな感じがあったりで、アイエヌアイ色んな味しておもれ〜〜! に……(昨日パフェを食べて影響を受けているね?)

・フェンファン→京介さん、尾崎くん→フェンファン、京介さん→フェンファン、みたいな違う組み合わせででもそれぞれウィスパー→ハスキー→ウィスパーと要素が重ね合わさる部分があるから二人を配置しながら歌声でグラデーションつけてくるところ声の贅沢使いで大好き。アイエヌアイの声の個性が好きなので……

・京介さんダンスが正鵠無比系で柾哉さんの流派を濃く感じる! 多分止めがすごくて、ヒットが気持ちいい感じだ! 

・大夢くんも印象的なんだけど、こちらは美学とスター性、華を感じる。

・フェンファンまじでBTCのDramaticは更にかっこよくなってて軌道の取り方が本当に美しくて凄かった。

・てかまじでAwakenig期の西さんのラップの進化ありがたい、また楽曲に厚みが出て………


4.BAD BOYZ

・BAD BOYZ大好きです!!!!!感謝しかない!!!!!! BAD BOYZに感謝する勢力!!!!!!

https://youtu.be/8tNka5jvyU8

・自分の中にINI楽曲ランキングつけたら1位候補はAMAZE MEとBAD BOYZになる。

・もうさMVがモノクロからサビで朱のラインとリップ、セルリアンブルーの面が基調となった色彩配置になるのコントラスト最高ですよね〜〜!! 狙い通りやられた〜〜ってなる!

・その中で赤パンツをあてがわれる男、髙塚大夢くん金髪も相まって鋭い表情が悦っててめちゃくちゃ良くて、流石効果抜群、あんたはスターだよ……に

・"now next chapter"の後藤さんBTCで抜かれたときめちゃくちゃ良かったことを広めていきたい委員会の者です。

・百万回言われてるだろうけどフェンファンの"周りのノイズはもういい"が張り詰めた硬質な地声での歌われ方にもうみんな虜だよね、音源聴いて夜中にベッドの中で虚空に向かってガッツポーズしたよね。そして実際に武道館で被せ突き破って響いたときぶち上がったもんね。

・りーくんめちゃくちゃいい子で傾聴者タイプでもあるのにビターで危険な美しさのあるビジュアルとこの低音を神から与えられたばかりにこちらは気持ちよくボコられる感じバドボという楽曲のイメージの体現者ででもこの子本当はいい子ででも……のループ

・2番サビ京介さんの"That's we came for"の引き金引くところクリアで正鵠無比ですごい。

・ラスサビまでのブリッジ、尾崎くんの聴いたことのないタイプの高音に殴られる→"我儘に本能"という歌詞だが雄大の声が可愛すぎてこの我儘ってマイメロディとかの世界観だよね!になる瞬間で中毒性に油断→パワフルな京介さんのシャウトにねじ伏せられる、の一連これがアイエヌアイの楽しいところ……

【推し定点】

・え"最初から最高に レベチなour story"といい"俺について reboot rewrite yeah"といい今回の尾崎くんの高音パートめちゃくちゃ桂馬って感じで(桂馬?)使われ方良〜〜! になった。"レベチな"のエッジボイスは技巧……となり、後者は振り絞ってひらりと出してる感じがサーカスの空中ブランコを見ているようなスリリングな感じが、いい……! となる。

・"We're the bad boy."の拳をボキボキやるところ、イメージ図としてのボキりじゃなく尾崎くんは完全にリアリティラインがかなり現実に寄った鬱邦画質感の陰湿で嫌なボキり方をしていてこの人演劇の人でおもれ〜〜ってなる。

・ラスサビの両腕ベンチプレスあげるやつみたいにあげる振り(比喩のトーン間違えてるだろ)なんかめっちゃチャラくていい、尾崎くんたまにチャラい動きするからそういうのもあるんだ〜っていつも見てる。


5.Do What You Like

・明日友達と遊ぶもしくは昨日遊んだから今日は買い物してご飯作ったり一人で散歩して陽の光浴びてケーキ買って帰ってきたり気ままに昼寝したりしよ〜って時に聴きたい歌!

・曲調からしてrelaxムードのゆるっとしたコレオになるのかな〜って思ってたらキリパ系統の繊細オルゴール緻密系統のコレオだったのでyeah,This is INI……になった。BTC本当に幸せ空間だった。


6.Runaway

聴く前は題名からして検索してみると逃亡者とか出てくるから怖くてダークな曲かな? と思ってたら、こんなにも優しい曲調で"君と二人"、"Let’s Runaway"、"夢の中へ"って歌ってくれる歌で、こんな世界観があるんじゃないかと広がりをもって教えてくれたの本当に、そんな世界があると思ってなかったくらいだから、りーくんがBTCで言ってた自分を大切にして欲しいというメッセージを曲としてくれたから私たち忘れないでいられるよと思う。BTCの東京公演で退出曲として流れていて、外に出た後に見た橙とサーモンピンクの夕焼けと一緒に記憶に刻まれている。

たじくんが書いた"いつものように悩む 寝れない夜が心蝕む 叫びたいけれどどこに行っても結局 叫べなかった"を聴くとき、叫べないのか……となり、あなたたちをそうさせてしまうものの正体って何だろう、抑圧の正体は……と考えてしまう。見られる職業のこと。
でも(これは後にひっそり書くかもしれない話なのだけど/何故なら私はそういうインターネッツの漂流物を灯台の明かりとしてきたから/これまどろっこしいな、クィアの話です)、ちょうどBTC前後に正にそのままそういう状況が私にも訪れて、その期間辛かったから逃げ場ソングとして、ここでだけ私は解放が許されるからRunawayを聴いていた。そしてそれが終わった時にNew Dayを契機ソングとして聴いて強く生きた。ただの、ある個人の話〜。

この曲を届けてくれてありがとうなんだよ〜!


7.

曲の背景を押さえてストーリーを理解しようとすることと、個人の文脈に現れた曲が特別な意味を持って聴こえてしまうことって、どれくらいのバランスをとったら許されることなんだろうと最近は思う。し、音楽を真面目に聴き始めたのが本当にINIさんに出会ってからなので、その答えのヒントになりそうな理論体系にアクセスするための知識資本がない感じだ。どう検索したら出るんだ?
でも、BTCのディスクを見始めたときに訪れたことがあった。私はクリスマス東京公演と武道館最終日夜の2公演に入ったのだけれど、BTCの円盤に収録されているのは25日クリスマス公演で、映像化されたそれを目にした瞬間、閉じていたスナップボタン式のカーディガンの前を引っ張って全部一気に開けたときのように、"映像として残った公演"と"映像化されなかった公演"が硬く弾ける音を立てて不可逆に分岐し、金ボタンで輝かしく何度も見返すことができる動かざる記憶としての映像化された公演は残り、記憶の中だけの公演があったことを、もう忘れてしまったことの方が多いという事実を突きつけられて、音もなく沈んだそれの立てた余波で知るしかなくなってしまった。
大切だったことも時が経てば人は忘れてしまうし、忘れてしまったから大切じゃないわけじゃない。でも、間一髪、本当に間一髪だけど、BTCのことをブログに残していた! 勿論、もうここでも言葉にできたこととできなかったことで分岐は出てしまう。だけど、あなたたちがくれたものがどれほど分かちがたく個人の人生と結びついているのかを、影響を与えてくれたのかを、いつかありがとうと言える準備が整うまで記録しておく、そういうポジティブな地縛霊を作るみたいな(?)お地蔵さんを作っておくみたいな、う〜んもっといい比喩がある気がすごくするけど、そういうものとしてブに残しておくことは少なくとも私にとっては意味があるかなと思った。あとファンレター書く時に伝えたいことの種として実用的に役に立つことが分かった!

DROP thatも楽しみだ〜!

 

箇条書きの星座〜INI TOUR 『BRAKE THE CODE』2023.1.8 夜公演の日記〜

すみません、ツイートと被る部分あるし、相変わらず推し定点気味です!

 

【開演前】

・反対方向の電車に乗ってしまった幼馴染を先に入場して席で待つことにして、隣の人に話しかけてちょっと会話をした。お互いの推しとか、いつから好きだったのかを話して、ライブ中も目配せとかし合えて楽しかった。

・席は二階席だったけど有明の時よりステージが明らかに近くて嬉しかった、見えるかも。OP映像が流れて、アリーナに人が沢山座っているのがさっきまで見えていたのに、青い光が底を満たすようにかき消して光の波がただ広がっていて、照明ってすごいなと思った。

【開演】

・Rocketeer。結論として肉眼でもかなり皆が見えた!! 黒いテカテカの衣装で皆がゴリゴリ踊っていて威圧感が凄かった

・Cardio、尾崎さん抜かれたときやばすぎたのは覚えてる。ウワ〜その表情そのものを持って帰れなくてわたしは完全に形容できないまま忘れてしまうんだろうなということが悔しかった! でもそれがアイドルのステージだもんな、言葉に出来ないものはできないまま。

・BOMBARDA。柾哉さん……柾哉さんの筋肉ダンスやべえよ……この距離からでもやばい……になって両隣(柾哉MINI)の身を案じた。

・MC。大夢くんが最初の挨拶で"この2時間半泣くための時間じゃないですからね!楽しんで笑う2時間にしましょうね!メンバーも!"って観客とメンバーに釘刺してて最高のアイドルだった。たくろむちゃん、自己開示を通じて思考し結論を出し強くなっていくタイプと、自己の目指すアイドル像があるから見せない部分を選ぶタイプで表出のさせ方は違うのに到達点が同じように見えるの面白いな……。あと京介さんがめちゃくちゃ足開いて立ってて厳ついのに第一声が「会いたかったです!」なのこの人さ〜〜!何そのかわいげ!!!ズルすぎる!!!に……

・RUNWAY。RUNWAYといえば白なので、有明だと黒いRUNWAY!?という感じだったけど、この日のステージで黒と青(衣装とライティング)のRUNWAYか!! 理解!! になった。冷たくて清い濃い青い光の下で、引き締まった黒鉛のいしょうでのRUNWAYも綺麗だった。その中で相変わらず雄大の笑顔はこちらも心が綻ぶし、フェンちゃんがなんか抜かれたときもうずっと美人で凄かった……

・ONE。京介さんもうベテランみてえな貫禄があんのよ、あの指を"1"にするところモニターでもその指の先に釘付けにさせられて美しすぎた。あと"one night kiss"で尾崎くんが抜かれていてやばかった、私は尾崎くんの目を伏せたときのお顔がいっとう好きなのでおしまいに………………

・VCR①、柾哉くんの「アイコンタクトして、お互いの気持ち、確かめあお?」を誰が1番可愛く言えるか選手権、藤牧京介様におかれましては尾崎くんをご指名いただき大変ありがとうございました。もはや木村柾哉さんの言い方が何度聞いてもあざとすぎて笑ってしまうのだが、りーくんは目の見開きについてクローズアップするし、京介はちょっと煽っているし、からの尾崎さんの役作り的なアプローチでの再構築とそのやり切りに完敗しました。白ベレーと白カーデでそれはもう完璧ですかわいい!!!!!!!! フロイニ#53からの流れ、ありがとう。あざとさを肯定して育てるタイプのアイエヌアイさんの文化、ありがとう……

・Do What You Like。車のエンジン音でコレオも車で西くんがハンドルとってるのもう……ずるいじゃん……である。

・KILLING PART。当たり前にあの頭でコンコンコンするパートがかわいい。雪の妖精尾崎くん、有明で見た時より可愛さの中にチャラさ(?)をなぜか感じて興味深かった(※個人の見解です)

・一番好きな曲のAMAZE MEで尾崎くんがカメラに抜かれた時に本当に心から嬉しそうな笑顔で歌っていて、私だけでなくあなたも嬉しかったのならそれだけでもう来た意味があったと思った。覗き込んでくるようなアングルも確かあってこの世の楽園? となって凄かった。私の中でAMAZE MEと米津玄師の春雷は同じ引き出しに入っていてとてもとても大事な曲なんだ……。

・Brighter。最後の並んだ時の時計の針の音と共に止まるコレオのこと……

・STRIDE。にゃんにゃんポーズを血眼で見てた。"行ける I believe"で尾崎くんが抜かれた時にこちらに針を刺し縫いとめるように指さしたクリアな強さで、この先わたしが折れそうになったらこの時のことがリフレインしてその度に射抜かれ続けるだろうことが決定した。

・Work space Dance。迅ちゃん本当に派手派手華やかで良い。君のやりたいこと……

・How are you。武道館の音響がたぶん低音がよく響くようになっているのかな、りーくんのど低音が聞けて嬉しかった。"その声が恋しかったよ"がライブで好きを伝えるには何ができるんだろう…と思っていたので一際響いた。

・Mirror。武道館は横並び一列で歌っていた。声量!!ありがたい!! この時の目尻にシャドウの入った尾崎くんが麗人過ぎて幼馴染とひたすら動揺してた。

・Runaway。目配せをし合ってハモっているところとかにアイエヌアイさんを感じてよかった。この歌本当にさあ………やばくない? "キミと二人 夢の中で"ですよ?(語彙の死)。自分を大事に、とずっと伝えてくれるアイドルがこの世にいることが……

・色々あったけれど私ってPasswordかなり好きな曲だな? とこの曲を聞いてぶち上がった感覚で気づいた。フェンファンのジャケットの下から肌が覗いた時いちいち幼馴染と私動揺してたからね、見てはいけないものを見てしまった感。最初からなんですけど大夢くんがカメラに抜かれた時に悦って表情を作っているの惹き込まれるしとてもアイドルで凄い……。

・CALL119、Burning崎匠海さんがめちゃくちゃ良かったことを伝えていきたい委員会の者

・Shooting star。この辺から最終日の気迫が凄すぎると多分同じことを観客たちは思い、どよめきと拍手が起こる。

・Dramatic→BAD BOYZ→SPECTRAの流れ、気迫と楽しんでるのが伝わってきてぶち上がりすぎてて会場もザワついて一曲終わる事に拍手起こってたからね最早。いいものを見たぜ最高だよINI、って皆見てた人同じこと思ってたよ多分。なんかさぁ〜〜柾哉さんがプデュのONEのときを思い起こさせる激しさ荒々しさがあってさ!!!!!たじくんも何処までもクール&スタイリッシュなのに暴れてた!!!!!フェンちゃんの被せを突き破る破裂音のような歌声もばりばり聞こえてきてめちゃくちゃやばかった………。

・アンコール、Let me fly。踊ってる時にりーくんが楽しい時間の終わりを悟っていてでもその終わりがあるからこその儚さ美しさを知っている顔で皆をまだ夢から覚めさせないようにやさしい目をして微笑んでいたので泣きそうになってしまった。

・We Are。なんかさ、演者の皆がどう思ったかも聞きたいけれど、私はWe Areで観客がワクワクしながらビデオのボタンをオンにしたときのポポポポ…という音が周り中から聞こえてくる光景に松明が灯っていくみたいでわりとあたたかみを感じていたりする。波のカノンと二番のあぶくのようなコレオが大好きだから肉眼で見ることにしている。

・最後の挨拶がちよちゃんからだったんだけど、あのちよちゃんが「全部出し切りました!」って言って始めたからもうその時点から泣いてた。命かけて踊りますってファンミで言ってた、そして本当にこの人はそういう人だなって見ていたら分かるちよちゃんだからさ……。

・大夢くん最初の挨拶からカメラ抜かれた時の表情までもマジでアイドルであんた辞退なんかしなくて良かったんだよアイドルの才能あるよ!!(野次)になった。

・人の心の機微に聡くて言葉ですり抜ける雄大がたくましく生きていきましょう! って言ってて、雄大は何かあった度にそういう風に生きてきたんだなって思ったし、雄大がそう言ってくれたからさ………たくましく生きたいとわたしも思ったんだよ…………。

・尾崎くんが最後の挨拶で自分は本当にファンの方々を支えられているのか不安になる時もあるけど今日皆さんの一人一人の笑顔を見て、支えられているのかなと思った(ニュアンス)と言っていて、会場の人の笑顔をひとつひとつちゃんと見てその中に答えを見ようとする強さこそが、それを否定せずに受け取って伝えてくれるところがどこまでも尾崎くんだと思った。オレンジのペンラが点滅して線香花火みたいだった。"夢は上下激しくBumpy"崎匠海さんがいつもベストパフォーマンスで、レミフラのときも思ったけどきみのHIP HOPも好きだよ、これからも沢山見せて欲しい。

・柾哉くんが「みんな重い荷物もって命かけてここに来てくれて」で命かけて?!って笑い起こってたけどオタクってそんくらい重い気持ちで来てくれてることを想ってくれていて………

・西くんを見たかつての仲間が楽しいと応援し続けてくれるの、プデュで見たあなたのようにあなたが関わった全ての人の人生をずっと大切にし続けているからだよ……と(何も事情は分からないけど)思った。西くんがINIの最年長で良かった。

 

***

 

忘れられない日にしましょうとあなたたちは言った。
最後にわたしは、わたしたちのこと忘れないでね、と思った。
どうやって? なんでだろう、そんなこと不可能なのに。多対一の、個としてのわたしはそれが悲しかったのだろうか? 
でも、多の中の一つがちゃんと一人の人間でできていてそれは本物だと伝えようと在ること志向するのが、わたしは認識されなくてもわたしの人生を込めて応援するのが、あなたたちを支えるたった一つの楔なのかもしれないとも思うんだよ。

 

***

 

【あとがき】

ツアー、歌い踊るINIが鬼セトリで思うぞんぶん見ることが出来て楽しかった、行って分かったことがたくさんあった、夏休み始まる前の日のように宿題いっぱい抱えてありがとうの気持ち。

オタクとして、ライブ前と後のルーチンを決めたいな〜と思った。ライブ前はとにかく総決算したくなるかもだから予定を空けておこう。それから、今回は前日に先延ばしにし続けていた排水口掃除をフロイニを聴きながらやって、ハレの日のためのケの日をやった感じが良かったので、またやってみてもいいのかもしれない。セトリは見ずに行ったのが楽しかったから、次からは目に入れないように動こうかな。終わった後はロスがすごくて、名残惜しくて記憶を切り出したらそれ以外のことは全部忘れちゃうのが悲しくて手を動かせず、でも記憶はどんどん消えていく……みたいなジレンマのなか、演劇・本・別のアイドルのステージ映像を間髪入れず浴び続けたのは結構良かったんじゃないかと思う。見てみて比較して砕いた中で残った推しの概念の欠片を漂わせて、何をもらったのか改めて明らかになるのが興味深かった。ライブの日に買って一口食べたかぼちゃプリンを、一日で食べきらず二日間かけて食べたりもしたので、シュトーレンみたいにお菓子を少しずつ食べながら振り返るのもいいのかなって思った(なおわたしはいつもクリスマスはギリギリになってから気づくのでシュトーレンを買い計画的に食べたことは、無い)。

有明の公演の後はオフラインであまり深い感想は話さなかったのだけど、今回は幼馴染とガストに駆け込んでたらふく食べながら、割と芯の部分の感想も話した。話せてよかったと思う。記憶が書き換わることもあまり恐れすぎないのも大事かなと思った。

***

また皆にライブで会いたいぜ! 
ファンレターを書けるようになりたいな……!

愛しい不均衡 〜INI TOUR 『BRAKE THE CODE』2022.12.25公演に寄せて〜

枯れ木も山の賑わい…と思って良かったぜー!という感想をなるべくこの世に浮かべておきたくレポというものをやってみたかったのだが、思ったより覚えていたことが少ないな!?&個人的な情景が多すぎる!ので日記になりました……初めてアイドルを生で見た人なんだなと生暖かい目で見守っていただけますと幸いです……(だいぶ推し定点です)。覚えてなさ、かなしい。経験値で覚えられることが増えるようになると思いたい…
ネタバレあり、無駄に長いです!

****

【参加】12月25日 有明アリーナ

アイドルのライブに行くのがそもそも初めて! 前日に机の上に持ち物を全部並べて当日の朝目検で確認しながらバッグに入れていくという、普段なら絶対にやらないボーイスカウトスタイルでの入念さで挑んだ(ボーイスカウト詳しくないですすみません)。連番した柾哉さん担の幼馴染が九月くらいから定期的に会場周辺地理・気候について報告を飛ばしてくれていて(鳥を使って索敵するタイプの能力者?)、手持ちの中で一番分厚いコートを選び防寒対策はばっちり、行き方については惑わず、グッズ抽選券はなんとか三枠目に滑り込み、どちらも物の管理とかに自信が無いタイプなのは幼い頃から相変わらずなのが口に出さずとも分かっていたので、多くは望まずアクスタとオーナメントが買えたらいいなあ……の気持ちで臨んだ朝だった。まあオーナメントはもう売り切れていたけども! アクスタはなんとか手に入れて一安心し、周辺は本当にめぼしいお店が無かったので駅の方にもう一度戻って探してくれていたカフェで朝ご飯を食べた。私はライブがあるからなぁ!と人生で初めてダイエットをしていたので(馬と人参の関係がないと全く続かなかった)、久しぶりに食べるパンはバターの香りが幸福そのもので罪のようでもあり、泣きたくなるほどおいしかった。佳き日だー! 抽選のトレカの開封式をして、アルバムでは1枚も尾崎くんのトレカが出なくて落ち込んでいたけど、偶然自引きできて幸先が良かった。

それから開場時間までいい天気だったので近くの公園でBAD BOYZのPVを見ながら日向ぼっこをし(私はこの動画の色彩配置に感動して絵の勉強をしているフレンズに見てもらいお褒めの言葉をもらったよ、と横から喋った)、幼馴染のトレカの交換が成立するところを目の前で見て感動し、会場に入った。席は三階席の後方で遠さは不安だったけど、入れただけで有難いですからね。
ライブのネタバレを見ることのメリデメがまだ自分の中で確立されていなかったので特にスタンスを固めずにいたけれど、セトリは見てなかったから未知! もはや怨霊みたいなレベルでAMAZE MEがセトリ落ちしていないことをひたすら祈り続けてた。
ペンラがどんな風に制御されるのか気になりだした頃、徐々に大きくなるBAD BOYZの音量。アガるね!

1.

始まりはRocketeer!
遠いーーーーーー!小さーーーー!!ウオーー人だ!!!!!!(それはそう)トイストーリーの緑の兵隊みたいな大きさで私の視力では黒衣装は見分けあんまつかねーけど人が立って踊ってるーー!!一番奥のステージだと暗くて双眼鏡でも見えんしモニター消されるとマジで全て見えんかったぜ!(近くだと暗い中で踊るアイドルかっこいいのだろうなと思う)あの柾哉さんが無重力を表現するコレオは何とかして見た←こんな感じで細部の記憶が無く……メソ……
続いてCardioをぶち込まれセトリーー!殺す気で来てるーー!になった。モニターに映される尾崎さんが気迫を見せる表情をすることを今回は選んでて、怖いくらいに美しかったのを覚えている。
そこからBOMBARDA→MC→RUNWAY→ONEか(記憶が…)。物凄い最初からかっ飛ばしているセトリだ。RUNWAYのとき、雄大の"瞳を閉じて 鮮明に描くよ"で微笑むのがモニターに映し出されるのを見て、雄大って本当に笑顔ひとつで人を幸せにできる才能があるんだな、すごい……になった、そんなのって何よりもアイドルじゃん……。ONEのましゃたくのコレオがどんな映像で見た時よりも美しく舞っているように見えて、その魅力が伝わってきたのが嬉しかった。
あと皆言ってたけどりーくん、センターパートの少しウェーブした艶のある黒い前髪が目にかかっているお顔が麗しすぎた……

この一連は遠めから始まったのもあって、モニターに映されても映像だから実在感をあまり感じていなかったんですが、でもこう壁とか隔てず推しと同じ空間にいて、空気を媒介として踊る人達から発される熱が伝播してそれを確かに肌に感じ、会場の温度が上がっていく感じにうわー!となった。こう……同じ水槽の中に我々はいて……(?)色んな魚達がいるんだけどアクアテラリウム的に底中央後方に台座が置かれていてそこで何やら煌びやかな金魚たちが踊っておりその背びれ胸びれが揺らした水のさざ波がちょっと水面付近にいる我々にもダイレクトにとどくんだぜ〜! みたいな状態でさ……(この人こわいよ〜)

なんかでもさ、箱庭を上から見ているみたいな、本当につまんだらどうにか出来てしまいそうな壊してしまいそうな大きさで繊細に作られた人形みたいに11人が見えて(実際は全然私よりでかいのですが)、手を抜かず刺してくる振り一つ一つが、その人の意思でどう表現するか死ぬほど考えて作られて磨かれて繰り出されていることを見たら初めて分かって、この統制された、でも意志のこもった動きはからくり仕掛けとかじゃなくて、自分を律した人間が身体ひとつで無防備にこちらに開いて、やってくれているんだという事実がやばくて、ということは私はちゃんとこの人達を人間だって分かっていなかったわけで、それが本当に恐かった! うお〜、本当の鬼は私の中にいるし絶対にこの人達を傷つけちゃいけないのに私というやつはそのことを分かっていなかったんだ〜! となった(?)

2.

VCR①、どういうキャラなんだ? とどうやらかわいらしくなった皆さんのことを自分の精神のポジショニングを定められないまま、何か極端な方向に行く選択肢をとるのを見ていたら、Do what you likeからコンフォートゾーンパートが始まった(独自名称)!

こっからはNステージ(センターステージ)で踊ってくれたのは覚えていて、皆の踊りがよく見えて嬉しかったよ〜〜! DWYLがSTRIDE系のゆとりがあるように見えるコレオかな?と思ったら、細かく作り込まれたキリパ系で、続いてキリパに繋がってウワ〜ってなった! INIと言えばゴリゴリダンスみたいな印象があるけど、こういう紙細工で作られた夢のオルゴールみたいな繊細な世界観のダンスだって丁寧に突き詰めててかわいくて凄いんだよ〜〜と声を大にして言いたい!!布教頑張ります!! そして一番すきな曲のAMAZE MEあったよ〜〜泣(AMAZE ME嬉しすぎて隣の幼なじみの肩にタックルばりのぶつかりをかましてしまった気をつけます!)おざ西から始まったのと上手でトト兄弟が並んでいたような気がする、可愛かった。もう"夜明けまで そばにいて"を推しが歌うのを聴いてさ……次はBrighter!本当にサビのコレオが好きでそこはモニター見ずに肉眼で皆を見た、あのキラキラをねじって閉じ込めるような振りを。最後はSTRIDEで、お披露目の回数を重ねる度に踊りが良くなっているのを感じるし、私はSTRIDEのおかげで波とか香り玉がシャバーンと弾けるようなサウンドが後ろでなっている曲が好きだと気づいた。アウトロが延びたのご褒美すぎた。

もう百万回言われている事だけど言います、白ベレー帽×白ニット尾崎匠海さん!!動き方も想像の中でしか存在しないタイプのかっわいさで、全部全部全部ウルトラ・ハイパー・キューティー・キラキラアイドルだった!!ピュアホワイト!!雪の妖精!!砂糖菓子の擬人化だった!!(美少女・蓮海を思い出した)なんかもう前回私はあのようなブロクを書いたのだが、例え私が千の言葉を使おうが本物の尾崎匠海さんの体現するキラキラアイドルの前では塵に等しいだろう! あなたはこれがやりたかったのか、なりたかったのか、それを私も見たよ、こういうことだったと分かった! 気持ちがいいほどの負け! 君は!!!パーフェクトだよ!!!

あとは、分かったと思ったのは、皆が踊るのを見て、意思ある生命としてその身体に連なった腕が動かされるのを見て、あ〜! アイドルって本人なんだ、その人自身なんだ! って、思った! 
あんま上手く言えないのだけど、私が他に行ったことのあるライブが"ナナライ"というアイドル物のソシャゲのライブで、キャラクターの設定で声優さんたちが歌い踊るライブだったことを考えたいと思う。それは、声優さんたちが私達が大好きで人生だと思っているキャラクター達を、凄い熱量で演じて再現させようとしてくれていて、普段はふざけてぶっ飛んだボケをするキャラの声優さんが演じるキャラクターは最年長で周囲を見れるタイプだから、自分のキャラを封じてMCの時はフォローに回る姿を見せてああ〜本当にいる!という感覚をファンは味わえたり、ふとした時の素の言葉がキャラクターと似ていて演じるべくして出会ったんだなとほっこりしたり、逆にキャラクターとご本人のキャラは全く違うのをMCの時は振り切って出してて、でも人生の先輩としてそのキャラクターに寄り添ってくれる言葉を言ってくれたのが一番の理解者がいてくれて嬉しかったり……と、演じてくれることでよりそのキャラクターの輪郭がたち現れるという、ベタとメタの層を行き来する感じがミルフィーユ食べてるみたいで脳がおいしい〜!ってなるのが醍醐味だったと思う。
でもさ、それとはまた違うって思ったな、生身のアイドルのライブを見て、この人たちは本人としてやってるんだ、という感覚。すんません対比しようと思ったのですがアイドル経験偏差値低すぎて結論出せませんでした! 
それが何をもたらすのかを私はまだ分からないけれど、尾崎くんがいつか言っていたことがその先にはあるような気がして、会う度にその意味について考えてみたいと思う。

3.

VCR②、洋画。洋画だよもうこれは、勝ちました。(なんかみんなめっちゃ歩いてたけども)ちょっと大学生のとき映画観てたの、全然ガチの映画オタクほどではないからな〜と思っていたけど、この日のためにあの趣味はあったと言い切ってもよかった。三番目のやつだったかどっちか忘れちゃったんだけど、フェンファンのナレーションまじで良かったよ〜沢山喋って欲しい、英語も中国語も……

そこからWork Spaceに!
DANCE、カッとスポットライトが当たって威尊が踊ってたのまじでステージの上で一人で踊り、これだけ観客がいる中で緊張を見せずに場を魅了する度胸が凄いよ、そして上手いよ〜ってなった。綺麗だった、堂々としてた……凄い……アイドルってこうなんだ……! 迅ちゃんは本当にめちゃくちゃいいね。私は迅ちゃんの、表に立つ場でブレるところをこちらに見せないように魅せ切る、やり切るというステージ人としてのプライドとそこから来るパフォーマンスの気迫と色が本当に素敵だと思っている。柾哉さんは遠くからでも振りがクリアーだよ〜〜なんて言えばいいんだろうあの正統派すぎて逆に突き抜けてるような踊り方は……。
How are youがさ〜〜ひえ〜〜生音でドス鯉のラップ聴いてやべ〜〜の気持ちに……!りーくんが思っていたより少し高めな音とりでウワ〜〜ってなるしたじの子音のアタックがさぁ〜〜(語彙の喪失)、でさあ西くんはめちゃくちゃラップ上手くなってるし最高だよ。最後みんなでぎゅっとしてたのギャップで可愛かったな。
Mirrorーー!なんかこうクリスマスに相応しいライティングで、いつもは歌っていないパートを歌うので待ってこの中低音来るなんて聞いてない! みたいになってた。Cメロのろむフェン→おざまきの波流れを聴けてまた我が生涯に一遍の悔いなし…に(まだまだライブは続くよ!)

4.

VCR③、いや洋画やないかい!!! !(やかましい)。私は松田迅さんを若かりし頃のディカプリオだと思っているので走っている姿本当に映画じゃん……になり、柾哉さんががっしりとした体型でありながら余裕やユーモアのあるタイプのボスって考えた人誰ですか? すごい似合うと思う、あと銃の構え方上手すぎてなんかやってた人? になった(ダンスって身体を使うとはいえ…)。近接戦闘の西さん本当に洋画で(重複表現)この人は映像系も強いなあとなり、りーくんのアクションシーン嬉しい!vsあのお顔を傷つけられたらと思うと危ないだろ! のアンビバレントな気持ちになり、大尊のシステム系ペア感仲良し双子…と思い、めちゃくちゃクール寄りのお顔タイプのろむフェンまさかのギャグなんかい! になり、おざまき、京ちゃんは今回のコンセプトアートだとノワールもの韓国ドラマに刑事として出てきそうなお顔立ちに見えて、尾崎くんはなんか逆にいい人そうさが際立っててこの人絶対に主人公陣営のちょっとドジ踏むタイプの役! になった。そしてスタイルで全てを捩じ伏せるかっこいいたじくんにおしまいに……
そんなことを考えていたらPasswordとCALL119がきて笑ってしまった、映画セトリすぎて(?)。CALL119のがなりからのサビが最高なことにツアーで皆気づいてしまっていて嬉しかった、新しい曲が出る度にCALLって凄かったよな……になるもん。素知らぬ顔して紛れ込むShooting Starくん、やっぱ君はちょっと異色なんよ…

もうここからのDramatic→ DILEMMA→BAD BOYZは最高潮!!!って感じだった!!!!!語彙は敗北しましたでもめちゃくちゃ楽しかったです!!(DILEMMAの緑と紺と紫のライティングがおどろおどろしくてコレオに合ってて良かったのは覚えてる)BAD BOYZすきだ〜〜!

5.

ここから、SPECTRA、そしてアンコールでレミフラ→We Areとなる。
挨拶の時のMCが尾崎くんで、振る時に皆から一人ずつ"挨拶"しますじゃなくて、"お話し"しますだったのが、私はアイエヌアイさんにコミュニケーションを教えてもらったと思っているから、勝手にこれこそINIだ〜〜ってなって噛み締めてた。
コミュニケーションだと思うのは、いつも皆挨拶で、応援ありがとう、これは当たり前じゃないというようなこととかを言葉にして伝えてくれるところかなと思う。それって本当に単語としては幼い頃から知っている単純な言葉なんだけど、それでも何度も何度も伝えてくれるから、本当にそうかなって私も思えて、それってコミュニケーションで、大切な人がいたらどんなに陳腐な言葉だと思っても伝え続けることが大事なんじゃないかという学びをアイエヌアイさんから得た。なんかでも、私たちの方こそ多分当たり前じゃないことをたくさんたくさんあなた達からもらっていて、それって失った時に気づくみたいなほど無意識にまできっと根を張っていて、そのことをあなた達を失う前に気づけるのだろうかと思う。気づきたいぜ! どうすればいいんだろうな。

アイドルに出会う前は、アイドルってオタクのこと嫌いなのかなと思ってた。だって本当に我々は色々言ってしまうし、傷つけるための言葉もあれば傷つけないと思った言葉も声が多すぎて渦となりアイドルを苦しめることも沢山あると思う。
でも、来て、分かった。わかるよと思う、客席に手を振る時に向けた目で、手の上げ方と名残惜しそうに下ろして去るまでの腕の動かし方で、あなたたちがどんなに愛しいと思って客席を見つめているのか、わかるよ、伝わっているよと思う。私はどう返したらいい? 私が本物だと、本当にあなた達を好きだと思ってもらうためにはどうしたらいいんだろう?

 

25日の挨拶で、尾崎くんは伝えたいことは一つだけ、"大好きです"だと話してくれた。君がひとつだと選んだこの言葉について、長く、その意味を考えたいと思う。一対多、アイドルとファンの関係性、その不均衡な構造が何をもたらすのか、私はまだ分からないけれど、でもその関係性を強がりとかでなく、本当に私は愛しているんだよ、世界にそういう関係性があるというバリエーションを教えてくれたことが私を助けてくれたことがあったから!

宿題が沢山だ! だからこそ、会えてよかった。

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今年も推してくぞー!まずは追加公演武道館8日!!

背伸びの理由 -推すことと自己―

25日、初めて好きになったアイドルを生で見れる予定なので、その前に自分の中でいったん総決算として書いた!

内容的にだいぶ書き手の自我が出ていてグロい怪文書なので気を付けてください~。

 

*******

 

 いまから書くことは、あくまでもわたしが思ったことなので、どうかこれを読んだあなたはあなたの見たものを信じてほしい。わたしは脆く、わたしの心臓を射止めたそのものである大好きな人達のステージの上での魂の影を確かに見たと思ったはずなのに、時が経つとあれは本当の輝きだったのかと、自分の頭の中で固定しようとした美化された思い出なんじゃないかと、心無い声に簡単に惑わされて信じられなかったり、揺らいでしまったりする。それに抗ういたくて、もう一度信じる強さを持つために、なるべく言葉にしてみたい。

良かったらあなたの見た光景も浮かべてみてほしい、あなたのそれをわたしも読みたいです。“うまく言えないけど”、と言ってみる。慣れない、でもうまく言えなくてもその言葉を挟んでみることこそが大事なのだと、他でもない大切なアイドル達が教えてくれたと思ったから、返しきれないほどもらった気持ちを忘れる前に書こうと思う。

 

 

1-1.2022年3月のこと

 

※この章には『INI 1ST FAN MEETING』の「BIHIND」のネタバレが含まれます。

 

 その日、わたしはINI 1ST FAN MEETINGの「BIHIND」のディスクを見ていました。要するに公演の舞台裏映像で、これは2021年11月24日に行われた、INIというアイドルがデビュー後に初めてファンの前でパフォーマンスをした公演です。当時わたしは現地には行けていません。幼馴染から勧められてINIに本格的にはまったタイミングがチケット申込期限をとっくに過ぎており、そのとき残業がやばかったけれどぎりぎり配信視聴期限にすべりこんだ覚えはあります。それから約4か月後に発売された円盤に、公演とBIHIND映像が収録されていて、わたしはTLでフォロワーさんが先に内容を見ているのを観測しながら、楽しみだなあともろもろ終えた寝る前に、期間限定のバスクチーズケーキ風のピノをお供に鑑賞し始めたのを覚えています。

 呑気にアイスは美味しいしこういう舞台裏の映像って練習とかの作品をどうクリエイションしているかが垣間見れて楽しいな、いい夜だな~と見ていたわたしはラストに起こった出来事に両手で顔を覆って嗚咽する羽目になります。

それは、わたしを撃ち落としたいわゆる推しであるところの、キラキラアイドル担当・尾崎匠海さんが、公演の最後にほかのメンバーが思わず涙ぐんだり号泣しながら一人一人最後の挨拶をしたりしているなか、最後まで揺るがない声で挨拶を終えファンの前では涙を絶対に見せなかったのに、BIHINDの最後で誰も来ないであろう建物の廊下でカメラからも逃げながら背を向けて泣いている姿が映ったからでした。

 どうして、そこまでして? と思いました。何があなたにこんなにも目に見えない強い力をはたらかせて頑なにさせるのだろう? と。

アイドルの在りようはひとつではなくて、感染症で外出やライブが制限される時勢で初めてグループとしての自分たちのファンを見たメンバーはそれぞれ背景やたくさん思ったことがあっただろうし、最後の曲を泣きながら踊っていた佐野くんの姿や、あの西くんの伝説の挨拶は胸に来るものがありました。廊下にいた尾崎くんを心配して、リーダーの木村くんが来て話しかけてくれてBIHINDは終わりました。そのとき尾崎くんが木村くんに向けた、破れたような声が耳に残って離れませんでした。

果たして、わたしは本当にこの姿を見てしまってよかったのだろうかとも思いました。でも、わたしは馬鹿だから、想像力が無いから、知ることができなかったらあなたがわたしたちに見せている笑顔の裏にあったものを考えてみることもなかったかもしれないと思うともっと恐ろしくて、その判断もできないまま、戸のすき間を風が通るみたいな音を出しながら泣きました。

もらい泣きとか、共感したとか、そういうのではまったくないのです。

わたしはこの人のことを、一生かかっても理解できないかもしれないと思って、そのことが本当に果てが無くかなしかったのです。

 

1-2.宣誓

 

【絶望】

わたしは尾崎匠海さんのことを一生かかっても理解できないかもしれないこと

 

【宣誓】

それでも、(わたしが)やること。

 

一つ、対象をよく見ること

一つ、原典にあたること

一つ、推すことの加害性と、それでも“善き”オタクになる術を考え続けること

 

1-3.その名乗り

 

 尾崎くんは、いつも「キラキラアイドル担当!」と自らを名乗ります。そんなところが好きだと思います。空気を多分に含んだハスキーな声で曲で何を伝えたいのかを解釈し感情を織り上げて歌う姿や、曲が始まってから終わるまでずっと繊細につくり上げられたくるくる変わる表情演技をたずさえて踊る姿だとか、パフォーマンスがキラキラ輝いているのは勿論、彼は常にポジティブであることをモットーにしています。こう……あの……お勉強はできないタイプなのですが(赤と青を混ぜたら黄色になると思っていたらしいです)、高校生のときから芸能の世界で下積みをしてきた彼は、人一倍「アイドルとはどうあるべきか、応援されるようなアイドルでいられたか」を絶え間なく哲学して実践していて、それはライブのときの挨拶の言葉選びなどからも感じます。メンバーも、時おり人を突如バミューダトライアングルに巻き込むような尾崎くんの「???」な言動や行動をいじりつつ、グループの未来をいつも考えてくれていると言ってくれます。

 そのほか、印象に残っている尾崎くんの発言です。

 

・ヒーローになりたい

・「口にすると叶う」

・「好きなんだと思う、人」

 

 さて、こんな風に並べてみて、己の見識が狭いので引き合いに出せるものが自分のものさししかなく、やってみるとして。引っぱり出して無理矢理あてはめて考えてみても、いつもいつも「わたしは尾崎くんとは全然違うな……」ということを思い知らされる日々です。

 まず、わたしはこう、ネガティブなマイナス思考を全てアグレッシブに暴露して周りをバッドモードに引きずり込んでおきながら当の本人はネタに昇華できてスッキリしているという悪行を重ねる人間なので、落ち込むことがあっても外に出すものはポジティブにするというのが、というかまず自分をポジティブと公言するのって要はポジティブでありますという宣言としての性質を持つような気がしていて、その道を選ぶのが、すごいなあとなります。彼は天然気味で抜けているところがありますが、要所要所で表では“言わないこと”を選んでいる、自分を律して発言する人間だなと観測してきて思っています。他にもまた、ものさしをあててみて、年も年なのでヒーローになりたいとか思う若い気持ちもなくまず自分の日々がガッタガタで余裕が無いし、そもそも口にしたら叶うとまで言えるのは叶ってもいい準備がある人だけだよな……と思うし、わたしは“人間”という言葉を聞いたら真っ先にサジェストされるのは“憎い”という単語なのでこれに関しては全くその感覚が分かりません! 尾崎くんはキラキラアイドル担当を標榜していますが、息抜きに見るのは重い、最後になっても答えの出ない人間の暗部を描くようなシリアスな邦画系の映画らしくラインナップを見て怯えました。そ、それは息抜きなのか……? 何があなたをそうさせて、それでも人というものが好きだから見れるってこと……どうしてきみは……(以降無限ループ)

 わたしは尾崎くんを推す前は二次元とか物語作品派生のキャラクターが基本推しだったのですが、なんかやっぱり推しになり方が違うんだよな~と思います。物語における推しって、自分と思想が共通していると思った人を好きになる傾向がわたしにはあり、一見自分とは遠いように見えても、置かれているポジションが似ていたり過去に体験したことが似ていたりしていて、同じような葛藤にどうやって向き合って答えを出すのかとか、その上で「この人みたいになりたいな、こうありたいな」とその在りように憧れて好きになるということが多かったです。

 その点、尾崎くんは違います!(違うんかい)わたしは尾崎くんをお顔で気になり(正直者)、Youtubeに上がっていたオーディション時の個別定点映像(チッケム!)でDynamiteをカバーして踊る姿を見てかんぺきに好きになったので、性格や人柄や信念が最初の共感ポイントとかでもなく、好きだから気になるという順番であり、共通点と言える共通点が特にありません。だから、思考に予想がつかなさ過ぎるし、自分の憧れを追いかけた先にある像とかでも最早なくて、尾崎くんが考えていることに繋がるヒントすらわたしの思考の外にあり、推し量ることすらできない、だからあなたのことが本当に分からないと思いました。

 そんな感じで、しかもアイドルを推して二年目の若輩者なので、尾崎くんのことはおろか、尾崎くんの掲げるキラキラアイドルというのは果たして何なのか、それは人に何を与えるのかについて、わたしは掴みあぐねています。自分にとって全く分からないものをその人が追い求めているのを見て、わたしは「ばあばが言ってたんだけど、」と母から聞いた言葉を思い出します。「なりたいって思ったら、その時点でもう才能があるんだよ」と。その言葉の真意や論理は分かりませんでしたが、いったんそれを正としてみたら、尾崎くんがキラキラアイドル担当を名乗って、そうあろうとしていること、この世からそれを選んだことが、もう才能なんだと思います。

それでも! とわたしは思うのです。たとえ、一生分からないと思っても! “あなた”と“わたし”が“推し”という一点でだけは繋がっているのなら、諦めたくないぜ! あなたの大切にしている軸がわたしにはまだ見えないけれど、あなたほどの人が執着するならそれはきっと何か意味を持つことだから、そうさせる見えない力の存在のことを、なんとかして見てみようとすることを忘れず、心に留めておきたい、その正体をできるだけ考えてみたい。わたしは愚かで、わたしの中にはにこやかに笑っている人を見て、あの人はいつも幸せそうだと何も考えずに思ってしまうような鬼がきっといて、時々顔を出しそうになる。アイドルがその裏にあった苦難をステージの上では見せないで、わたしたちはその中から表に出してもよいと判断された一部を雑誌やテレビのインタビューでしか知る機会がないのなら、キラキラした姿をだけを見てただそうなのだという酷いことを思ってしまいそうな自分が恐いから、この人たちのことをよく見て、言葉をちゃんと聞いて、想像することを忘れないようにしたい。

オタクはがんばる! オタク形を変えるぞ! 自分の形を変えてでも、あなたを知りたくて今まで考えもしなかったことを考えて、自分をストレッチさせていくことをしたい、せめてそうしたいよ! コンパスで円を描く光景を想像する。予想もしなかった白紙の地帯にぽんっと針を落とす人生になって、あなたがまだ見えないほど遠くたってその地面をさらって前よりも重なる誰かの円が、重なった表面積が増えていったらと思う。他人の気持ちがたくさん分かる人間に、なりたいと思う、その先にいるあなたを少しでも分かりたいから!

人生とは他者と出会うことだから、分かり合えなくて同じではなくて希望を断たれたような気持ちになったとしても、思いもかけなかった瞬間を閉ざされていた思考にきらきらあなたがくれることが、その絶望と張り合って今日のところは勝つ夜がある。あなたを分からないと思うことに、圧倒的な差異を感じるたびに折れそうな日々だけど、だけど同時に、ええい、そこが愛しいさ! この痛みさえきみがくれたのだから! と思えるようになりたい。なれるだろうか。

今は強がりでも言ってみること。

 

【願い事】

知りたい、分かりたい

 

【コマンド】

 ストレッチ

 

2-1.誰かになりたいの運命(ほし)のもとの生まれ

 

 謎に迫るため、“なりたい”という気持ちを軸に考えてみると、わたしは学生の頃からずっと“誰かになりたい”という激しい衝動にめちゃくちゃに振り回されている人間だったことを思い出します。

 その“なりたい”って、努力してこんな風になりたい! という類のものでもなく、本当に本当に、友達その人自身になりたい、自分の意志とか消滅していいからその人に同一化してその後の人生を送りたいみたいな“なりたい”でした~。えっアイドルの話をしてたのに突然何? こわすぎ! すいません続けます。

こう、人って青春時代に王の器を持った人間に出逢ってしまうことがあるじゃないですか(さっきから世界観強くない?)。近しくなってしまったが最後、自分に無いものばかりが目に入ってとても手に入れられないそれが一番だと思って、わたしは就活のときどうしてもESが書けなくて一時就活を完全に断って丸二か月引きこもり生活を送っていたことがあるのですが、そういえばこの文章を書くにあたって気づいたんですけど、そのときに書いていた自分の長所とかアピールポイントって、考えてみたらわたし自身のものじゃなくて、そのなりたい子の長所だったんですよね! こ、こわ~(笑)!

その理想以外は無価値、自分のはみ出している部分を削ってでもその人になって世界を見てみたくて、あれってなんなのでしょうね? 何のためにそういう衝動を人は持つのでしょうか。

こう、なので痛い目に遭って年を重ねてからは己と言う暴れ馬を乗りこなさなければいけないことが分かってきたし、ちょっとその馬の制御の仕方も分かってきて、有り体に言えば自分を活かすしかないんだなあとぬぼ~っと思ってきました。

 

2-2.もう一度、なりたいと

 

 このような背景から、“なりたい”という衝動に近年は注意を払って安易に飛びつかないようにしていたのですが、ここで話は戻ります。わたしはINIさんの姿を見ていると、こんな風になりたい! と、まっさらな心で、できるかどうかはともかくもう一度と思える瞬間があり、そういう気持ちがまだ自分の中にあると思えたことが、わたしを柔らかくして、なんでもできるようなパワーが残っていた感覚にさせます。

 池﨑くんの傾聴、尾崎くんの肯定、木村くんの全方位への神経の行き届きと配慮、後藤くんの柔らかく変換された言葉たち、佐野くんの人の感情の機微への聡さ、フェンファンくんのこの時代を生きるわたしたちを守ってくれる明晰さ、髙塚くんが好きを伝えるトーン、田島くんの業界経験から差し出されるケア、西くんの全力で人を愛しきる姿勢、藤牧くんの誰も取りこぼさないツッコミ、松田くんがいつも大きな声でリアクションをすることを選ぶところ、ここに書ききれないところたくさん! INIさんって、人をてらいなく褒めたり、相手の気持ちを考えて伝え方を工夫したり、とにかく優しさの手数が多いところをコミュニケーションが上手いなあとわたしは感じ、番組でのインタビューやカムバックショーでのトーク、コンテンツを見ると思います。なんかこう、テレビでグループとして紹介されてMCの人とかと喋るときもメンバーのことをストレートに褒めていて、それって本当に意地悪な見かたですが捉え方によっては内輪感を感じさせるから面白くするために皆の前でわざと強い言葉で落とすみたいな運動を人間はとることがあるけれど(その手段を取れる人たちは言ってもリカバリできる関係性が普段から作れているということも勿論ありつつ)、それってセンスがいることで、INIさんの場合は最後まで傷つける可能性がある言葉を言わないようにすることを選び続ける方針みたいなものがあるなあと勝手に感じて、自分だったらそうできるのかなと思ったりする。私見

気遣いとかの感性が皆無な自分にとって、やさしさって幼いときに無意識に与えられていた行動をそのまま繰り返しているか、後天的に得られるとしたら「ああ、これは優しさなんだ、人への気遣いなんだ」と他人の行動を見て気づいてからが始まりで、それを自分でやろうと思って実践を繰り返すことでしか身に着けられない気がしていて、INIさんを見ていると自分は所詮くず紙のように丸まっていて丸だから人間ですよ~と外見をつくろっているだけで、その折りたたまれた皺の中にじゅくじゅくとした自身の醜いまでの幼稚性が隠されていて、広げられて明らかになったら本当に見るに堪えない恥ずかしくて未熟な人間なんだなと想像したりもします。でも同時に、やさしい人になれるように頑張りたいと気張らず素直に思えていて、なんだかある種カウンセリングというか行動療法? を受けているみたいな感覚で、人にやさしくする方法を学べると思ってINIさんのコミュニケーションを見ていることがあります。

 

 

2-3. 人生の周数の謎

 

すこしずらして、“ありたい”という力のことについて考えたとき、西くんと木村くんを見ていて思ったことをそれぞれ話します!

 

 西くんはグループの最年長で、ダンサーとしても活躍していた過去を持つ大変にダンススキルの高い頼れる人物です。精悍な顔つきで、寮で言ったらスリザリン(?)、クールに見えてみんなに喝をいれることもあればメンバーの悩み相談にも乗り激励することも欠かさないメンタル面のケア力もある大変熱い人物です。お笑いが好きらしく、バラエティコンテンツでもエンタメ性を担保できるよう皆を煽りツッコみ場を盛り上げたり、ちょっと自信がない時に小さめの声ですっとぼけた顔でボケてみるものの、表情で「この人、ボケようとしているんな」ということが伝わってしまったりするチャーミングな人です。

 西くんと言えば、2022年8月28日に放送された『逃走中~上陸!猛獣の島』の彼の行動が印象に残っている人もいるのではないでしょうか。自分の行動が原因だと考えて、捕まってしまったザ・マミィの酒井さんを復活させたときの回です。

事の経緯はこうです。まず、ハンターから逃走しながら別の逃走者一人とツーショットを撮るというミッションがあり、逃走者は相手を探しミッションを達成しようとします。西くんは酒井さんと電話をして集まって撮ろうと約束したものの、向かう途中で別の逃走者と会ってしまい写真を撮ったことで、酒井さんがあぶれ捕まってしまいました。

『逃走中』はこのゲームで参加者の人間性が見える瞬間が面白い番組なのかなという印象があり、たとえばこうなってしまったときにゲームですからとドライに突き放し言葉巧みに悪役に回って大太刀回りし、番組を面白くしようと頑張る方もいらっしゃるのかなと思います。それもセンスがなせる技で、でもこの時の西くんは「俺のせいだ……」と本当に責任感を感じてしまっているようでした(この後も、一緒に集まって隠れていた逃走者が見つかった時に散り散りになって捕まったのにも「また人を見捨ててしまったかもしれない」となっており、こう、見ている側の「いや、そういうゲームだからそんなに責任を感じなくてもええんやで…」となる温度差がちょっと面白くて、でもそんな西くんがかわいらしかったよな)。

そこで、次のミッションが明かされます。それはそのミッションを成功させればハンターに捕まった人を復活させられるカードが手に入れられるものでした。西くんは酒井さんを助けられるかも、とミッションに挑戦し見事カードを手に入れます。そして、酒井さんを復活させたのです。

なんでしょう、そんな西くんに胸を打たれたのって、西くんが酒井さんや別の逃走者が関わりのあった状況で捕まった時に責任感を感じてしまうような人だったという、状況に対して現れた西くん固有の人間性の繊細さを愛しいと思ったし、後悔したことに関してリカバリのために建設的な手段をとっていったクレバーさにこいつはやるやつだぜ! と気持ちよく唸らされたところがあるのかなと思います。

 

 INIのリーダー、木村柾哉さんの話をします。

 木村柾哉さんについては、私見として「王の器を持つ人なんだよな……」と思っています(まだその世界観続いてたんだ)。彼も以前はダンサーをしておりダンス講師もしていて、この前出た雑誌でメンバー総当たりの各メンバーに対して一言ずつコメントをする企画では、まるで先生たちが一球入魂して書いた小学校の通知表のようにそのメンバーのことを見抜いていて、かつ今後のその人の可能性の方向についても同時に示しているような照らしているようなコメントをしていたのを読んで、わたしはその慧眼に驚くとともに人というものに対する鋭敏さや教師性を感じました。手紙を書いて人に渡す習慣を持っているところや、最初から最後まで丁寧に柔らかい言葉で綴られたファンクラブ限定ブログを読んで、なんだか幼稚園の先生みたいなところもあるなあとも思います。

 なんか、でももうこれ以上わたしは木村柾哉さんのことを説明できないんですよね、この人もあまりにもわたしの思考の外にあり類推すらできないタイプの人であり、人生何周目? って言われるような人っているじゃないですか、そういう雰囲気を持っていて、すごく思考して隅から隅まで気を本当に抜かないからリーダーの器なんだなということは何となく伝わりますが、説明が……できない……。エピソードとして印象的なのはデビューがかかったオーディション番組で振り付けとリーダーを担当しながら、自分以外のメンバーも輝かせようと見せ場を作っていて、むしろ自分の見せ場をもっと作っても良かったんじゃないか? と感じさせるような人であったということ……。

 でも! と思います。人はやはりどの人だって人生を何周もできるわけでなく、たった一回の生をやっているのだから、あなたのどんなところがわたしにそう思わせているのかを、考えてみたい。

 さっき西くんのことについて書いていたとき、わたしは後悔がその人に何らかの方向性を持たせるのではないかと思いました。後悔をしてこう思ったから次はこうしたい、どうすればできるか考えること、そしてそれは後悔とだけ表せるものではなくて、これだけは捨てられないもの、大切にしたいものを選んだ時も方向性を持つのではないかと思いました。

 想像します。人生の選択を、人間性を問われるような選択を迫られたとき、過去の後悔を検証してきた結果の集積を基に、また、こういうときに自分はどうありたいかという抽象的な思考を——たとえば自分より他人を優先したいとか、選ぶべき道を——まだ目に見えない、あなたの想像の中だけにあるありたい姿を、それでも手綱のように握って、複数の視点から、もしかしたら人の何倍何十倍と決断を重ねてきたことが、その人の人生の周数が多いようにわたしたちに感じさせる可能性があるのだろうか、と。

 

 ねえ、たぶんわたしたちが光っていると思うのは、あなたたちのその志向性を源光として見たからではないですか。志向し鍛錬を重ねてきた魂が、あるいは日々の選択を重ねる中で、削ぎ落としてきたものがあったとしても、どうしてもそれだけは落とせないと選んできた先にできたその人の人間性こそが、光って見えるのではないだろうかと。

 

2-4.あなたになりたい、は

 

 ここまで書いてきて、わたしは思ったのです。わたしがその人になりたいと思った子も、頭が良くて、わたしの何倍も想像力があって現実への対処が上手い人でした。

 あなたには、とてもなれない。それでもあなたになりたかったのは、わたしが本物だと思ったあなたのすごさを、あなたを知らないほかの人にも絶対に絶対に伝わる言葉で表したくて、でもその材料はどうしたってわたしの中にはなくて、あなたを説明するためにあなたの考えることを分かりたかったから、なりたかったのかもしれないこと。

 

それでも、アイドルのあなたたちも神さまではなく人間なのだから。

あなたにはなれなくても。ずっとあなたがどんなふうに何を考えて来たのか、あなたを見ては検証し続けるのだろう、少しでも言葉にしたくて。

 

【願い事】

あなたになりたい

 

【コマンド】

なれないあなたを想像する

 

 

 

3-1.ミュージカル『刀剣乱舞』~真剣乱舞祭2022~

 

 “誰かになる”ということについて考えた話をします。

 

わたしは尾崎くんのダンスや歌を見ていると、「この人の表現が好きなんだなあ」という気持ちになることがままあります。表現ということについて、尾崎くんがFAN MEETINGのときの挨拶で「僕たちはアーティストなので、パフォーマンスを通して人を支えたい」というようなことを言っていて、どうして通さなきゃいけないんだっけと、わたしはまだその言葉の意味を今も完全に分かってはいないのですが、その分からなさと共に抱いています。あと、曲とかパフォーマンス映像が出ると裏話などで明かされる「何をどう表したくてどう工夫したのか」みたいな話を聞くのが好きで、表現について考えるのがどうやら好きみたいです。

 ですが、果たしてわたしは推しが表現したものを受け取れるほどの知見が、素養が備わっているのか? 正直、足りないと思われ、そのためにあらゆる表現に通じなくては……! とコンテンツの鑑賞を積極的に頑張ろうとする闘志にバイタリティがまだ追いついていた時期に、大学で知り合った数年来のマブダチ(以降、Kさんと呼びます)に「ミュージカル『刀剣乱舞』~真剣乱舞祭2022~の福岡公演に行かない?」と誘ってもらいました。

 

 Kさんとは漫画やアニメについて語り合う中で、わたしが新体操やダンスをやっていたKさんに見解をもらいたくINIの動画を見てもらったり、逆にわたしがミュージカル刀剣乱舞(以降、刀ミュと呼びます)の配信を見て感想を述べたりなどしていました。刀ミュはあの人気ソシャゲ刀剣乱舞を基にしたいわゆる2.5次元ミュージカルであり、刀の付喪神という設定のキャラクターに扮した役者さんたちが、殺陣に歌に踊りに和太鼓に、はたまた舞台上で傘に和紙を貼ったりわらじを編んだりと日本の伝統芸能がこんな形で継承されるとは当初は誰も思っていなかっただろ! という想いにも至らせてくれる総合芸術作品と呼ぶにふさわしいコンテンツとの認識を持っています。あと、物語を第一部でやったあとに、それがすごく重い話であったとしても、第二部でそのキャラクターが現代っぽい、(なんというか、アイドルチックな?)曲を歌い踊り披露しお客さんはペンラを振りブチ上げになるという容赦ないコントラスト、キラキラの激流を浴びると言う構成になっていて、初めて見たときは衝撃でした。そんなのありなのかよ!

 話は戻りますが、その『真剣乱舞祭』というのは作中もしくは第二部中で出た曲をキャラクターに扮する役者さんたちが歌い踊る催しということでした。「加藤大悟さん、福岡公演に出るけど絶対ソロあると思うよ! チケット申し込むから行こうよ!」と大変熱い魂を持つKさんは全力でおすすめしてくれました。わたしは以前、これも2.5次元ミュージカルの類なのですが『魔法使いの約束』というソシャゲファンタジー文学と言われた作品の舞台で、ヒースクリフ・ブランシェットさんがこの人生の中で目の前に現れてくれたときから、ヒースを演じる加藤大悟さんについては存じ上げお慕い申しており、Kさんのお言葉に甘えることにしました。

 そんなわけで、Kさんにチケットを当ててもらいわたしは6月の頭、真剣乱舞祭福岡公演2daysを浴びてきました。楽しい!! 面白い!! 景気が良すぎる!! 景気のいい舞台って最高!! なんか船が(船が?)1公演で5隻とか出てきたような気がする!! 山姥切国広を演じる加藤大悟さんはこれで舞台経験3回目ってもう嘘だろみたいな魔王のように貫録で情感たっぷりに(?)ソロを歌い上げており、わたしはどの姿勢からでも持っていくビブラートの響きに唸らされ、『えおえおあ』のファルセットに歌声がきれいすぎるという理由で人は泣きたくなるんだと顔に強く力を入れながら思いました。大好きになってしまうような人がたくさんいました。堀川国広さんのハリのある音楽の喜びとはこれかと思わせてくれるような歌声、ディズニープリンセスのような蜻蛉切さんの力強い歌唱、豊前江さんは舞台上で永遠に端から端まで走り続けていてキャラクターを表すんだという覚悟がすごかった。蜂須賀虎徹さんすごいきれいな人だと思ったらウルトラマンXの主人公をやられていた俳優さんでした全然違う! 今剣ちゃんの活発で有能なサークルのマネージャー女子みたいなビタミンキュートさ、肥前忠広くんの指先まで神経の張り巡らされた踊りを見た人はみな、この人はどれだけ芸という道にずっと真面目に取り組んできたのだろうと思ったことでしょう。他にも、ここに書ききれなかったことがたくさん、演じる人の熱に胸を打たれました。

 ずっと胸に残っていることの一つに、1日目の最後の大包平さんの挨拶の言葉があります。大包平さんはキャラクターとしては熱い人物で、こう、それぞれの人の葛藤と覚悟があるけどうーん、うーん、それで本当にいいのかなでも……となるようなことに「そうじゃないだろ!」と怒ってくれる光のような人です!(?)そんなキャラクターがキャラクターのままで、言葉を送ってくれました。「主よ、時には辛くて下を向いてしまうこともあるだろう」。感染症という時勢の中、多くの演劇の公演は軒並み中止になったここ2年であり、刀ミュもそうであって今回の公演は感染症対策を施された上で実現された真剣乱舞祭だそうです。大包平さんは言いました。「そんなときは、俺たちに会いに来い!」と。舞台の上の人の言葉だと思いました。ずっとずっと、夏のお守りでした。

 人が、本当に心をやられてしまうとき、長い期間、たとえ回復したとしてもしばらく尾を引くほど、感受性がはたらかなくなり何か物語を見たりかつて楽しいと思っていたことをしたりしても、何も感じなくなってしまうことがあります。もしくは、身体を壊してしまったり、そもそも人によって身体の強さはばらばらであったりして、辛い状態にあっても劇場に足を運べない人もいるでしょう。もちろん、辛くても劇場にだけは来れたという人も同時にいるでしょう。

 だけど、あの日の大包平さんの挨拶のように、舞台の上の人がその公演に来た多くの人をたくさん救うということが億が一でも起こせる可能性に懸けて、そのために芸を磨いてくれるのではないかと思いました。

 2日目の公演も、1日目の公演と同様、祭りをするという想いを込めて刀剣男士たちは日本の各地域の舞踊を繰り広げていました。きっと、役者さん達はその土地の踊りを勉強して、さらにそのキャラクターならどう解釈してどんな特徴を持って踊るのか研究しつくして、この日舞台に立ってくれたのだろうと感じました。

 どうして、あなたたちは、誰かになろうとしてくれるのですか? 

だって、人間は刀には(正確には刀の付喪神には)、どうしたって本当にはなれないじゃないですか。絶対になれないものになろうと、自分のかたちを変えてでも役に尽くし、その気持ちをどうにかして分かろうと、誰かがこんな人がいてほしいと望んだ人に、求める人の声さえ聞いて、なろうとしてくれるのだろうと、わたしには分かりませんでした。

 でも、同時に、知っています。

自分と似た罪や後悔を持つ人、許せないことに怒ってくれた人、底抜けに明るくいてくれる人を、絶望を、希望を、勇気を舞台の上に見ることがどれだけのことかということを。それがあれば、わたしたちはこの世に本当はそれがなかったとしても、いやそれは本当にあるのだと信じて、表すことが誰かを救えるかもしれないと舞台の上でその身体でその声で表現してくれた人を見ることができたのなら、その時点で、それは本当にこの世にあるんだと思うことが、揺らいでも信じることができます。そのことに物凄く生きる力をもらったり、描いてくれてありがとうとずっとずっと握りしめてお守りにし続けることができるのを。

 どうしたら、わたしはあなたたちに報いることができるのでしょう? もらってばかりで、芸能という予測できない厳しい道を選んで続けてくれたあなたたちのために、何ができるというのでしょうか?

 2日目の公演の初めから、誰かが歌い踊るのを見るたびにわたしはその問いがずっと自分の中にリフレインし続けて、答えは出ず、ただ泣いていました。

 

【コマンド】

 報いる術を考える

 

『問わず語り』、本当に歌詞が綺麗で人間のいじらしさが出ていて知っている刀ミュの中でいちばん好きな歌です。

https://youtu.be/aDvNW5RpzsY

 

 

4-1.ヒーローとは

 

※この章は暴太郎戦隊ドンブラザーズ・第10話『オニがみたにじ』のネタバレが含まれます。

 

 ヒーロー、について考えたいと思います。

初期の話にはなるのですが、INIはオーディション番組から誕生したグループでデビューメンバーが投票により決定してしばらく後、各メンバーに対してこれから一緒にやっていくにあたっての互いに対するコメントを書いた色紙を公開しています。そのとき、尾崎くんは仲良しの藤牧くんに対して「京介‼ 一言だけゆうぞ‼ 絶対皆を幸せにするぞ‼」と書いていました。なんだかわたしはこのコメントに、尾崎くんの言うヒーローの姿というものが表れているのではないかなと思いました。思ったものの、例によって例の如く自分はそうは思ったことがないので()、その動機はやはり推測できず正体の掴めない言葉のままです。

ここはヒーローについて考えないといけないようですが、そんなとき暴太郎戦隊ドンブラザーズのあの話のあのシーに引っかかっていたことが思い出されます。

 

4-2.鬼頭はるかという人

 

 暴太郎戦隊ドンブラザーズは、桃太郎をモチーフとした今年のニチアサ戦隊です。レッドであるところのドンモモタロウと、猿・鬼・雉・犬をそれぞれモチーフとした個性豊かな4人のお供が、欲望を過剰に進化させてしまいヒトツ鬼という怪人になってしまった人間を元に戻すためヒーローとして戦う、毎週驚きをくれるアッパレなお話です。今回、考えてみたいのはお供の一人、オニシスターの鬼頭はるかさんが話のメインとなる大好きな回です。

 さて、この世界ではお供たちは選ばれてヒーローになるのですが、ヒーローになることで何かを失ってしまうという設定です。はるかは現役女子高生ながら売れっ子の漫画家でしたが、お供に選ばれた瞬間、身に覚えはない盗作を疑われ評判は地に落ち学校でも馬鹿にされることとなります。

 あの、鬼頭はるかさんは大変図太いところがありそれでも割とコミカルに暮らしていてそんなところが好きなのですが、ある日バイト先の喫茶店の謎多きマスターに、「きびポイントで願いを叶えることができる」と教えられます。それはドンモモタロウに貢献すると増えるポイントで、今までに溜めたポイントではるかは戦士をやめて元の人生に戻ることにしました。

 再び漫画家として順調な日々を送るはるか。どうやら、オニシスターには新たに後任に真利菜という女の子が選ばれたようです。順調に見えるも、実は真利菜はカメラマンという夢を失ってオニシスターになっていたことを知ります。——自分の代わりに誰かが犠牲になっているんだ。真利菜さんを犠牲にしてはいけない! そう思ったはるかは再びマスターに、自分は漫画家を辞めるからオニシスターに戻せ! と詰め寄ります。

 問題のずっと気になっていたシーンは、そのマスターに詰め寄るシーンではるかの足元がアップになり、背伸びをしているのが分かるカットになっていることです。なぜ、背伸びをするところにフォーカスして映したのだろう? わたしは画面構成を分析するタイプの批評法の勉強を積んでこなかったので読み解けず、でも何らかのヒロイズムに対するアンサーが描かれたはずだということは感じつつも、その意図が分からないでいました。

 

4-3.自分の中の…

    再び"なりたい"という気持ちについて考えるために、オーディション中に髙塚大夢くんが言っていたことを思い出します。

    オーディションの初期、髙塚くんはアカペラサークルに所属していたことがあり、歌がとても上手な候補生として話題になり、上から2番目のBクラスに選抜されました。未経験ながらもダンスも人一倍努力していたものの、Bクラスにはあと一歩でAに届かなかったもののダンサーをやっていた木村くんを筆頭に実力のあるメンバーが揃っており、自分と比べたときに果たしてオーディションで勝ち残っていけるのかと悩んでいました。その方法について質問した髙塚くんは、トレーナーからの回答を受けて考え方を新たにします。「他人と比べるっていう考え自体がおかしくて 自分のペースでできないことを(克服していくというようなニュアンスです) (中略)戦うべきは自分だから」とインタビューシーンで語っていました。

    もうわたしのような凡なる脳みそでは死ぬまでそのことに気づけなかっただろうよ……と髙塚くんの頭の良さに恐れをなし、だけどそうだよなあと折れそうになったときに何度も思い出す言葉です。有り体に言えば、その人の輝きの原石はその人だけの質感を持つのであり、それを輝かせるには世にある自分に合う方法をいくつも試していって己を研磨していくしかなく、完全にそれだけやればいいというぴったりした答えの明らかになった方法は存在せず、だからそのことに諦めそうになる自分との戦いなのかなと思いました。

そして、その言葉も思い出しながらこの文章について書くことを考えていたある日、思い至ったのです。

ーーーああ、わたしって本当に、この先も一生自分以外の誰かにはどうしたってなれないのだということに。

    笑ってしまうでしょう?  わたしはそのことを、本当には分かっていなくて今更気づいたのです。自分の部屋でそれに気づいたとき、部屋にある物を片っ端から投げつけて破壊したい衝動に襲われました。

    誰かが持っている輝きは、ずっと研磨されてきたものです。例えば優しさだったとすれば、それはその人がずっと過去にトライや後悔を重ねた上で、こうしてみたらどうかということを実践して繰り返し、そうあることをずっと選び続けてきたからとても素敵に見えるのです。わたしはそれを、してこなかった。何もわたしには無い。振り向いて残っているのは、手入れや鍛錬のされていない、わたし。この先何十年も誰かに成り代わることのない、感動も意外性も無いダサい自分をやっていかなければなくて、自分を輝かせようと思うのなら、それと向き合わなければいけない。そういう、とても耐えられない現実がただある。

   

   "なりたいと思ったら"

 

    だけど、

 

    "その時点でもう才能があるんだよ"

 

    わたしたちは、誰かになろうと、こうありたいと舞台に立ってくれる人に、どうしたら報いることができるのか。

    それは、わたしを生きることです。

    憧れたこと、捨てられなかったこと、どうしても許せないこと、選びたいこと、選ばないこと、怒ったこと。誰かが執着しているのを見て、必死で守っているのを見て、その力学を知りたいと思ったことも。この世にいくつものことが転がっている中で、それを見つけられたことは才能だとしたら。なりたいと、思うもの。自分の中にあるものと研磨してきたかもしれないものを全部使って、ストレッチするその運動、たとえ出来なくたって叶わなくたって途中で辞めてしまったって腐ってしまったって、憧れることはやめられなくて、そんなことも忘れて再びやり直すこと。打ちのめされる度、あなたとわたしの違うところを見つけてどんなに微かでもぎりぎりの接合点を辿ってあなたみたいになりたい、なってみたいと手を伸ばすこと、自分のかたちを少しでも変えてみようと身を差し出すこと。期限は、死ぬまでなのだと思う。あなたがたとえいなくなっても、思い出すだろう、残るだろう、出来なくてもその志向性を持つ軌跡が起こすことを。

そして、わたしは分かったと思ったのです。あの背伸びのカットの意味が。

ああ、ヒーローというのは、尾崎くんが名乗るキラキラアイドルというのは、背伸びなんだ、ストレッチなんだ。ちょっと無理をして物凄く頑張らないとなれないものにそれでもなりたい、その運動をする人であることなんだ。

きみが皆を幸せにするぞと言うのを見たとき、それはこの世に幸せでないことがあるのを知っている人だから、言えることだよと思った。そして、わたしはあなたの表現で、本当に助かった。この世にそれが本当にあると、信じてくれて、選び続けてくれて、ありがとう。きみの夢は、ちゃんと叶うよ。これからも、あなたのなりたいものが有機的に変わり続けることさえ、楽しみにしている。

 

5.

   なりたい、と口にすることの、その背景を知らなくともその過程を知らなくとも理論を飛び越えてそう思うことの何が愚かだろう?  叶わなくても、それが堆積してたったひとつでもどんなに小さなことでも何かの形になったら、その人の心を行動を動かしたのならそれはどれだけ大きいことなんだろう?上手くやれないこと、疲れて日々をやり過ごすしか無いこと、自分を甘やかすこと、その生活は全て大切でそのたった一瞬に"この人みたいになりたい"と思わせることがどれほどのことだろう?

わたしは愚かにも、分不相応にもこの先また懲りずに誰かに憧れてはまたなれないことに気づいてその度に新鮮に初めて気づいたように絶望して傷ついたような気持ちになり、だんだんそのパターンが自分でも読めてくるからこのままいくとこうなるから、と頭で予測して痛みを軽減するために安全に着地するためのセーフティな回路で着陸することが老いていくとともにできるようになるであろうけど、シャットダウンして鈍化させようとするのにその痛みは変わらずあり続けるであろうことがもう分かります。前借りなど先にまとめて消費しておくことなどできない、毎回なりたいと思い、そしてなれないことの絶望が毎度毎度鮮やかに私を打ちのめすけれど、その痛みが他者との出会いなのだと思います。

これはわたしの想像だから、まだ世界には足りず、だからあなたが見たと思ったものを信じてほしい、時々浮かべてほしいです。

 

https://youtu.be/yB95FFmtiVs

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うおー!! ライブ行くぞーー!