朝五時の食品サンプル

魔女になりたい!/朝丘せろり

ザ・セント・オブ・パイナップル・アット・ジ・エンドオブサマー〜20250913-INI XQUARE MASTERPIECE〜

【構成】

1:名古屋旅行記

2-3:ライブレポ

旅行記が2000字くらいあるので飛ばしてください。

 

1.「デカすぎんだろ…」と運命のブラック

INI XQUARE MASTERPIECE の初日に入るためにいざ名古屋へ! 初日ってな〜んも分からんから楽しみだよね。

12日の21時、リュックサックを背負って東京ミッドタウンの地下をさまよい、座れる場所を見つけて『斜め論』(松本卓也)を開きます。朝井リョウの『インザメガチャーチ』が読む前から怖すぎて、妄想のインザメガチャーチを脳内で勝手に生成しては「私のこのアイドルに関してとった行動も、インザメガチャーチ内では批評対象になっているかもしれない…」と怯えるという意味の分からない幻影に憔悴させられるタームに入っており、同等の密度の本を頭に入れることで忘却に努めるという作戦で、つまりこの2冊をリュックサックに入れて名古屋遠征をすることにしたのだった(重いんよ)。デカイ本にはデカイ本ぶつけんだよ! 1/3ほど読んで、時間になったのでバスに乗り込む。結構ぐっすり眠れた。朝6時、曇天の名古屋に到着!

今回の追加公演グッズであるメッシュゼッケン(尾崎匠海ver.)をトップスに、ホワイトのスカートを合わせました! カジュアルウェアが似合わないからいつもはグッズを身につけるのを躊躇してしまうのだけど、かわいい着こなしを上げてくれたMINIにのせられて、今回は着てみました。ネイビーとオレンジの組み合わせ、間違いなく可愛すぎる。

モーニングを食べてお店を出たけどあらゆる施設の開店時間はまだだから、コメダで『斜め論』の続きを読みました。2/3まで読んで、丁度いい時間なので名古屋市科学館に向かう。途中で同じくちよちゃんのメッシュゼッケンを身につけたMINIらしき人とすれ違ってワクワク。名古屋市美術館も凄いらしいのだけど、臨時休館で泣く泣く諦める。INIのライブで訪れた遠征先の、地域の博物館や美術館に行くことにはまりつつあった。

名古屋市科学館はとにかくデカかった。外観もデカいし、科学館も生物館もプラネタリウムもあるし、6階まで展示あるし。子どもも科学に親しめるように全ての展示の科学への導入が工夫されていて、力が入っていた。端っこから見ていくんじゃなくて興味のままに見ていったら、本当に物理系に興味無いんだなってウケた。いちばん楽しかったのは細胞共和国というアニメーションが展開される展示です(生物が好きな人)。

せっかくだからひつまぶしを食べようとお店に行ったら30分経っても全く列が進まない。諦めて台湾ラーメンに切り替えるか〜と歩いていく途中にひっそりと隠れ家的な鰻のお店を見つけて、そこでひつまぶしを食べることにして、予期せぬラッキー。おまけについてきたデザートのプリンがなめらかクリーミーで凄かった。嬉しい。

ここから会場に行くまでの時間で、愛知出身の後輩から勧められた古着屋さん巡りを大須ですることにしていた。目星をつけていた古着屋さんに順番に巡っていく。2件目でアメリカ80年代ものらしい、大ぶりで金縁の四角い黒曜石色のピアスにときめいて、ゲット。4件目の古着屋さんで、あれ? とふと手に取った黒のシフォンワンピースを着てみたらめっちゃ似合ったので(そか)店主さんに「私これめっちゃ似合ったので買います!」って言って、お迎えした。運命を感じます。古着屋さんが実は初めてだったのだけど、店員さんが話しかけて優しくしてくれて楽しくなっちゃうね。さっきのピアスと合わせて涼しくなったら現場に着てく、ブラックの運命のシフォンワンピースを手に入れてライブ始まる前から既に最高の気分♪

 

いざ、開演前にフォロワーと会うべくドームへ!  ドーム近くのイオンに流れ着き、足がこの時点でかなり浮腫んでいたけど「ライブってアドレナリン出るからなんとかなるっしょ!」と限界に挑戦しひたすら店内を回遊する。そうしていたら、DoleとINIのコラボしたスウィーティオMINIのパイナップルが沢山積まれてるではありませんか!この夏、プル活コラボの一報が入ったときに「後輩よ、私が丸ごとパイナップルを捌くのを目撃し、そのパイナップルを食べるパイナップルパーティーをしないかい?」と既に人を誘っていた私は、自宅近くのスーパーにDoleのパイナップルは置いて無さそうだから、ひとつここで買うのはどうだろうと買うことにしたのでした。

 

普通にミニサイズなのに赤子の頭くらいの重さあってワロタ。密度どうなってる?  若干後悔しましたが、これを持って歩いていると売っていた場所を聞かれ2人のMINIが多分同じくコラボパイナップルを購入してくれたので、宣伝効果抜群であった。

フォロワーとも会って、会場入り。
ついに、ドーム公演の1日目が始まるのでした。

2.開幕!

※推しであるところの尾崎匠海さん定点気味です。

・開始初手WMDAで尾崎匠海さんが1番初めにモニターに映った時から、挑戦的で高圧的な目をした、ステージを掌握する者の表情をしていて、This is 尾崎匠海's performanceだよ…と大好きだった(そか)

・とにかくこのブロック、藤牧京介さんが場数を踏むことで磨かれた、実力に追いついた装甲のような自信をまとったパフォーマンスをしていて、屋台骨というか固くはめられたビスというか、その存在感からステージを磐石にしていて良かった。

・SPECTRA、確かグリーンとピンクの照明でプリズムみを感じさせて良かった。雄大の身のこなしがどう映ってもとにかく綺麗で見せ方が上手くて、その裏に自分のパフォーマンスへ向き合ったであろう日々の分厚い層を見るようだった。

・BOMBARDA、verse2の迅ちゃん→ちよちゃんの流れのところで、迅ちゃんが炸裂弾を爆発させるような歌い方で歌ったのを受けたちよちゃんは、己の色であるスマート性であえてテンションを抑えて凝縮させ落とし込むというまとめあげ方をしていて最高だった。

・もう既にSPECTRAの時点でみんなのパフォーマンスが本当に良くて泣きそうになってたんだけど、モニターに赤地に黒で"MASTERPIECE"って表示されて演出が終わるとこ、最高にぶち上がって開始から景気が良かった。

・ここでVCR:Youngかな? 金髪で体育館の扉から飛び込んできて爽やかに笑う尾崎匠海が大写しになった時、永遠に手の届かない少女漫画色素薄い系先輩概念でうつくしかった。

・箱がピンクとオレンジのネオンで光った時に「待って」ってなったよね。さのたくユニットYOU INの開始です。立てかけてあった写真立てを手にとってそこに映っているすきであろう人を想う演技をする尾崎匠海さん、机の上に寝転がりながら写真立てを見つめ抱きしめるという現実ではありえないシチュエーションを演劇力で「ミュージカルとしての嘘ですよ〜」と好きな人を想っている姿なんだと感じさせられるように落としこむ手腕に、そういうところが! 好きで!  になった。雄大がずっと美人で真珠のようだった。藤牧京介さんもまさか自分が作詞した失恋の曲がこんな風にかわいさの側面を広げた演出でステージになるとは思わなかっただろうな〜って過ぎり、曲ってその人の手を離れても無限に新しく開き続けるんだなって余白の広さを想った。

・Pineapple juice、メンバーそれぞれの着ぐるみ(着ぐるみって言うな!)との向き合いの姿勢が違って個性が出ていてよかった。尾崎匠海さんは歌のおにいさんみたいに、着ぐるみの背負っている世界観を壊さないように一緒に踊る地平を同じくした存在として扱っており、解釈一致。あとこれは煩悩なのですが、許豊凡さんが魅惑のクロップド丈で着ぐるみとシェイキン!みたいな振りを踊っていて、眩しかった。

・挨拶で尾崎匠海さんが「ども〜っ✨️太陽ですっ✨️」ってやった後に許豊凡さんが「ども〜っ!フェンファンです!」って天丼したの本当に笑いに対して貪欲で本気で最高だった。許豊凡さんのバランス感覚 is 何。

・ここからムビステだったらしいけど記憶全て消えてる(なお、当方座席5階席3塁側天井席であるが全体が見えて意外と良かった)。Potionってマジでかっこいいよね。

・AMEZE MEバンドでやったの良すぎる。髙塚くん:ガチギター←倒れる たじまさん:ドラム←そんなのはかっこいいのは分かってんだよ 木村さん:キーボード←かわいい 後藤さん:ベース←反則だろうが!!!!!!!!!!!!! てかマジで練習量どない?

・Busterz、フェンりひという声質の艶最強ケミの歌声が合わさってとんでもないことになってたし、フェンりひ松田迅様のロングコートは衣装班に金一封入れさせてくれって感じだったし、ここからモニターによる背景映像の重厚感が凄いことになってるしで、ビックマネーを感じて大変景気が良くて良かった。

・BAD BOYZはこの流れで来て、アレンジ演出がドームコンにて完成したなあと思いました。黒いハーネスやコルセットを身につけた白衣装INIさん……衣装班の方向にに再び敬礼……

・ONE NIGHT、良すぎて覚えてないよ最早

・ハイハイハイハイハイここでね、木村柾哉さんがはめていた黒手袋を噛んで外すバックにNon-Stopのあの死ぬほど聴いたイントロが流れ、絶叫。

・Non-Stopくんです、はい、もう私の中の優勝は満場一致でNon-Stopくんなんですよ(暴論にて監獄へ)

・Non-Stopくん、コレオが本当に素敵だな〜、手首につけた香水の香りをかぐ振り付けが綺麗だな〜と思っていたらフェン牧が黒い紐を使って縛りあって(縛りあってはないです)いるターンがあってあれ……?になったと思ったら、皆んなが手に黒い紐を持ち始めて待って……?となったら、薄々勘づいていたけど目隠しをするような動作をし始めてそのサビでパートを担当する田島将吾さんがモニターに映り「将吾さんにだけはそれをやらせちゃいちばんダメだろ!!!(※つまり、逆です)」になって、3次元でこんなことあっていいんだになった。

・まあその次が尾崎匠海さんでね、あの、絶対に変化をつけてくるとは思ったけど目隠しを艶めかしくずらし目を覗かせるというのを自パートでやっていて、たくみなぎじゅつだ………名は体を表す………技のある男を好きになってよかった……技のある男を好きで嬉しい……!の感情になった。尾崎匠海さんは変化をつけることが期待されるパートを任されがちで、120点をたたき出してくるので……

・Brighter、よるの寝る時につける橙と飴色の中間の色のようなライティングになっていた。等間隔に白衣装で立つみんなも相まってキャンドルを灯している灯りのようにドーム全体が包まれてやわらかく優しく清廉な歌声が響いて、とてもうつくしかった。

・HANA_花が最高の演出でパフォーマンスされたの、宝物。

・ここのVCR、みんなパンキッシュ&クールに決めてたのに尾崎くんのターンになった途端ぽやぽやきゅるきゅるになって、良かった。

・スカジャンの胸元に鮮烈に刺繍された"西牧"の文字に、最高最高最高に。西くんの砂漠とムースみたいな声と藤牧さんのラップになっても透明感と清涼さがある声の対比が良かった。

・ここからのブロックの黒赤衣装もかっこよかったな〜! "無敵の旗掲げろ"の"旗"をがなりにしてきた尾崎匠海さんにめろめろめろめろ。

・Bullseyeのりーくんの最下層を走る地下鉄の反響音みたいな弦を弾くようなど低音をドームで聞けて最高。AIMするようなコレオ良かったですね。

・確か3Dで尾崎くんがサングラスを歌詞に合わせてずらしていて、神だった。

・What a night、大好きなところのひとつに尾崎くんが"色濃く染る夜に 近づく影にYou&me"の文章的な情景描写パートを任されているところがミュージカルっぽくていい!があったんだけど、そこを歌う尾崎くんがこのドームコンではその2人の甘美な近づく関係性を感じさせるような色気のある動きをつけて歌っていて、大好き…になった(そか)。

・最後の挨拶で「太陽になってみんなを照らせたと思うんですけど、皆の方が太陽でした✨️いや〜負けました✨️」って言ってくれて、光に群がる蛾のような私というオタクもあなたから見たら太陽になれるの…?になったし、こういう時に負けましたって言える尾崎くんのことがそういうところが好きだよ…になった。

3.深夜バスにてパイナップルは香る

公演が終わってしまって、すっかり暗くなった夜のナゴヤドームから駅までの帰り道に、アリーナの質実剛健な骨組みのしっかりしたぶち抜くポイントを決めた演出も好きだったけど、ドームはとにかく豪華で華やかさが尽きなくてどっちも味わえて本当に良かったと思いながらずんずん歩いていった。オアシス21で深夜バスを待ちあっという間に時間になって、疲れた身体を座席に預けた。眠れなくて時折目を覚ませば、足元に置いたパイナップルから、細かくその実を弾けさせるような、強い香りが微量立ちのぼってきた。


このレポを書く前に、これまで書いてきたライブレポを読み返していた。凝縮された時と感情があって、よくこんなにライブの最中の感情を細部まで空気ごと覚えてて書き留められるなと自分で自分に思った。暑さのせいなのか歳のせいなのかその両方なのか、あんなに持って帰りたいと思った表情や踊り方だったのに、ライブの後に書き留められるほどそれを思い出せないことが増えた。書かなければ本当になくなってしまうかもしれないと、頭が無意識に選定した特に強い記憶を必死で印象に残る言葉に変換して、なんとか持ち帰っている。昔のようには書けないことが淋しくもある。


でも、多分記憶力のせいだけじゃない。これを覚えておきたいと思ったことが次の瞬間瞬間にさえ書き換わっていくほど、目まぐるしく楽しくて洗練された結晶のようなパフォーマンスが続くライブを彼らがたゆまない努力とセンスで作り上げてくれてたということなんだと思う。


足元に鎮座するという表現が正しい、小さなサイズでもずっしりと重いパイナップル。言葉に表せない思い出が確かにこの世にあるということ、表せないことを本当にかなしく思う魂がこれまでもこの世にあったということ、目撃するということは残せないことを同時に手放して諦めなければいけないということ、遠く諦めることを繰り返しながら、だからこそまた会える場所でしか分からない瞬間を味わうために再び会いに行くこと。


向こうを見透かせないほど分厚い皮の下に詰まっている、食べている時しか抱けない感情のために食べる果実みたいだ。そういう空間が存在することを私は知り、それでも強い香りを必死で辿って記録することだってやめないでいたい。残ること、残らなかったこと、その2つのどちらも欠けてはいけないものなんだと、そのどちらも大切なんだとわかった夏の終わり。